総長は、甘くて危険な吸血鬼
『えっ、?!朔が……??』
私が知ってる朔は…
優しくて、頼りになって、いつも寄り添ってくれて、
暴力とか、組織とか、そういう世界にいるなんて、
さっきの朔を見てもまだ信じられないぐらい、
昔の朔は優しい人だった。
「俺も最初は信じられなかった…けどその日からBSの悪い噂をしょっちゅう聞くようになって、収集がつかなくなる程荒れていった。」
そう話す叶兎くんは、悲しいというよりはどこか寂しいそうな、そんな表情で俯いた。
「でも、元々BLACK SKYとWhite Lillyは…この街の治安を保つために作られた組織なんだ」
この街の治安…?
そういえば、私が寮に入ったその日の夜に叶兎くんが何か言いかけていたことを思い出した。
ロビーの机の上にあったWhite Lillyメンバー表を見てたらそこに叶兎くんが現れて、
“元々この組織は……”
あの時言いかけていたのはこの事だったのかもしれない。
「数年前までこの街周辺は不良で溢れかえってて族も沢山あったしかなりの無法地帯でさ、荒れてる組織を一つづつ潰して、最近はやっと治安が良くなって来てたんだ」