総長は、甘くて危険な吸血鬼
引っ越してきたばかりの私でも
少し前までこの街が荒れていたのは知っている
散々ニュースや噂で聞いていたしこの辺りには近づくなって教えられて来た
でも言われてみれば、
前ほどこの街の噂を聞かないようになっていた
「あいつは証拠隠滅するのが上手いから最近あんまり話題になってないけど、BSは危険すぎるし…朔の奴、きっとまた胡桃の事誘いに来る」
『何で急に…』
「多分…お前の血が、特別だから」
私の血が、特別…?
確かに叶兎くんは私の血しか飲まないけど…
「…胡桃の血を初めて飲んだ時、純混血かって聞いたの覚えてる?」
吸血鬼の親から生まれた子供の血に、吸血鬼の血が混ざっていない場合の“純混血”
混血や純血よりも、何倍も甘い血。
『でも、私の親は2人とも人間だし…』
「胡桃が知らないだけかもよ。…胡桃の血は最初の頃から結構甘かったし、俺は初めて血を美味しいと思った。可能性はゼロじゃないと思う」
……それは、考えた事なかったかも
でも、それなら何で私に教えてくれないんだろう
「まあこれは憶測に過ぎないけど…。純混血の血って吸血鬼側からすると凄く価値のある物なんだよ。純混血の人間とある契約をすると強大な力が手に入るって言われてる。」