総長は、甘くて危険な吸血鬼
叶兎くんを見送った後、流風くんがくるっと私の方を向いた
「それで…胡桃ちゃん、その格好は?」
『えっ?』
そう言われて気づいたけど、私今メイド服のままだ
一回教室戻るからそこで着替え取ればいいかなって思ってたとこだった。
…でも流風くんと後ろにいるWhite Lillyの人達にまじまじと見られている気がして、今更恥ずかしくなってきた
『あの…一回着替えに教室戻ってもいい?』
「え可愛いから良いじゃんそのままで。…あ、今の叶兎に怒られそう。まぁいっか」
な、なんか流風くんって天音くんと似たような波長を感じる
叶兎くんもだけど世の“お兄ちゃん”ってみんなこうなんですか…
なんというか、人を褒め慣れているというか遠慮がないというか
「俺はそのままでも気にならないよ」
『いや私が気にするんだけど…!?』
「まぁまぁ、せっかくだから文化祭片っ端から全部制覇目指して楽しもうよ!」
全然私の話聞いてないなこの人
さっき叶兎くんに対してもこんな感じだったからこれが通常運転なんだろうな…
「よーし、じゃあ行こ!」
そんなこんなで流風くんのペースに完全に乗せられた私は、
もう着替えるのは諦めて、文化祭を楽しむ事にした。