総長は、甘くて危険な吸血鬼

九条くんと叶兎くんが何やら仕事に戻れだの嫌だの言い合いを始めたので、その間に流風くんは私と凛ちゃんに持っていたクレープを差し出した。


「はい、これは2人に」

『ありがとう』


苺が乗ってる王道って感じのクレープ
ホイップクリームがくまの形みたいなデザインで可愛い

凛ちゃんは受け取るや否やすぐさま食べ始めた。すごい嬉しそうな表情で食べている。

あ、もしかして凛ちゃんの好物だからとかでクレープ買ってきたのかな？


「一口頂戴」

『あ、ちょっと！』


私も食べようとしたらその時、
クレープを持っていた方の腕を横に引っ張られて


「ん、これ美味！」


隣に立っていた叶兎くんが、パクッと私の持っていたクレープを食べた

叶兎くん、他の人が見てる前でも全然気にしないので毎度毎度心臓が落ち着かない


『もー、そんなつまみ食いみたいにしなくても言ってくれたらあげるのに』

「じゃあこっちももらっていい？」

『“こっち”？』


こっちってどっち？な状態な私にお構いなしに、
今度はクレープを持っていない方の手を掴まれて


『…！』


人差し指の先の方を軽く甘噛みされた

吸血鬼は牙が鋭いので軽く滑らせるだけでも血が出てくる