総長は、甘くて危険な吸血鬼
『…事情は知らないけどさ、喧嘩は程々にしなよ?』
消毒液など使い終わった物を箱に片付けながら胡桃は言った
…バレてた
いやまあそれはそうか。転んだなんていう言い訳が通用する方がおかしいよな
「胡桃って誰にでもこうやって優しいの?」
『…え?』
「俺みたいなのにも優しくするんだなと思って」
『俺みたいなのって…天音くんは友達だし、友達に優しくするのは普通でしょ?」
友達、か。
…そんな純粋な目で俺を見ないで
俺が、何でこの場所にいるのかも知らないくせに
何でそんなこと聞くんだろう、と首を傾げた胡桃
そっと右手を伸ばして胡桃の頬に触れる
『えっと…天音くん?』
何で、全く警戒しない?
もっと俺を警戒しろよ
「お前さ、秋斗に言われてなかった?“俺と2人きりになるな、警戒心を持て”って」
『天音くんあの時聞いて…』
言われた側からこれだもんな。俺に触れられても避けようとはしない。