総長は、甘くて危険な吸血鬼



「少しでいいから、飲ませて……胡桃」



今、初めて私の名前…



『…っ』



赤羽くんの指が、私の首筋から鎖骨に触れて
つーっと指を滑らせた

少しくすぐったくて身体がピクっと反応する。



逃がさない、

そう言われているみたいに
赤羽くんはじっと私を見た

赤羽くんの綺麗な瞳の中に、

私が写っている




「黙ってるってことは、肯定って捉えるけど」




…だ、だって

そんな真剣なまっすぐな目で見られて
断れるわけないじゃん


さっきまでずっと無愛想で
ろくに目も合わせようとしてくれなかったのに


こんな、近い距離で話してる…



それに、今まで血を吸いたいって
思ったことがなかったのに
初めて吸いたいって思ったんだよね…?

そんなこと言われたら尚更、断れない

< 36 / 259 >

この作品をシェア

pagetop