総長は、甘くて危険な吸血鬼
「…胡桃」
『?』
「俺のものになってよ」
『…………え?』
いやいやいや
どうしてそうなった
ホントに、さっきから突拍子もないことを次々と…
「あ、誤解しないでね。毎日血を吸わせてって意味だから、他意はないよ」
いや、それは、うん、分かってる
さっきまで私にすっごい不機嫌な顔向けてた人だもん深い意味がない事くらいわかる
真顔でとんでもない事を言ってくる赤羽くん
それどういう感情で言ってるの…
『嫌、ですけど…』
「この部屋に住むんだよね?」
『だってそれつまり餌ってことじゃん』
「会長命令」
『こんなことに権力使わないで!』
噛み合ってるようで
噛み合ってないこの会話
生徒会長の権限を使うべき場所絶対にここじゃない
「……ま、今はまだ良いか。言っておくけど俺、狙った獲物は逃さないタイプだから。」
何も良くはないんですけども…
ひとまず今は諦めてくれたみたいで
赤羽くんはソファーから降りると、
「じゃ、おやすみ」
『おやすみ…』
さっき机に置いた本を持って
涼しい顔をしながら部屋に戻ってしまった。
赤羽が言うと冗談に聞こえないのが怖い…
既にもうこれから平凡に平穏に暮らしていける気がしなくて、静かな学園生活を送るのは半分諦めながら私も部屋に戻った。