総長は、甘くて危険な吸血鬼
「へぇ…あの叶兎が自分から血を吸うなんて、胡桃ちゃんの血ってどんな味するんだろー?」
栗栖くんが後ろから私の髪の毛に触れたその時
「胡桃は俺のだから」
赤羽くんに腕をぐいっと引き寄せられて
もたれかかるようにぎゅっと抱きしめられた
貴方のものになった覚えはないんですけど…!
あと、他意はないって分かってても
さすがにこの距離はちょっと近…
だって、“私”じゃなくて“私の血”の話でしょ?
「わー叶兎怖い、独占欲ってやつ?」
「天音はあんまり煽らないの」
唯一冷静な飛鳥馬くんが栗栖くんの腕を引っ張ってソファーに座らせた。
「でも、今までずっと人間から血を吸うことはなかったのに突然どうしたんだ?」
超高速タイピングしてた桐葉くんもさすがに驚きを隠せていなくて、作業の手が止まっている。
「秘密」
赤羽くんがそう言った途端に、
その場にいた全員の視線が一瞬私に向いた気がしたけど
……気のせいってことにしておこう。