総長は、甘くて危険な吸血鬼


「一体どうやって気に入られた訳?転校早々色仕掛けでもしたの?」


『いたっ…』



ドンっと前から肩を押されて後ろの壁に勢いよくぶつかった

同時に、数名しかいなかったはずの女子が増えていて囲まれてしまった。


後ろは壁で行き止まり

もう逃げ場を塞がれた。



「ねぇちょっと聞いてんの?何とか言えよ」



こういうのは、
まともに返事したところで聞いてくれない

…私はそれをよく知っている。



『…私は、何もしてない。それに、あの人達にただの色仕掛けが通用するように見える?」



だから強気で返す

それも口先だけの暴言じゃなくて、ちゃんとした正論を返せるように



「は…、」


『…仮にそう思ってるなら彼らの事を悪く言ってるのと同じだよ」


「…………」



そもそも、あの人達に気に入られようとするような汚い手が通用する訳ない

見えてるのは目の前の相手じゃなくて“血”なんだから。

私だって、“血が気に入られた”ただそれだけの事だ。



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