総長は、甘くて危険な吸血鬼
心臓の音…叶兎くんに聞こえてたらどうしよう
…いや、後ろから抱きついてるから…絶対聞こえてる
訳もわからず追いかけられて、怖いはずなのに
叶兎くんと一緒にいると
なんとかなるって思ってしまう
目の前の大きな段差をなんの躊躇もなく飛び出して
キーーーーッと突然ブレーキをかけた叶兎くん
ザザザザとダイヤは大きな音を出して急停止した
気づいたら後ろにいたバイクはもう追いかけてきていなくて、どうやら逃げ切れたみたいだ
「はーーーー…久々に疲れた…。胡桃、大丈夫だった?」
『………』
「胡桃?」
『…ふふ、あははっ、何今の、叶兎くん運転うますぎ!』
怖いとかピンチとか、そういうの切り抜けた時って何故だか笑ってしまう。初めてのことだらけで、楽しいのかも。
「…怖い思いさせちゃったと思ったけど、無事ならよかった」
叶兎くんは私の知らないことたくさん知ってて
どんどん私の中の世界が広がっていく気がする
「叶兎さん!!」
その時、どこからか叶兎くんを呼ぶ声が聞こえた