私を、甘えさせてください
「え・・美月・・・・?」


触れた唇の隙間から、私の名前を呼ぶ声がする。
その声音にゾクっとした。


触れる程度で始めたキスは、すぐにお互いの意思で深くなっていく。


「帰らなくて・・・・いいのか?」


「・・・・帰っても、いいの?」


「・・・・帰さない・・」


出会ったのは一昨日。

それでも、不思議なほどに迷いは無かった。

たとえ、今夜限りの関係になったとしても、それならそれでいいと思った。


「朝まで・・一緒にいてもいい?」


「俺も、いま同じこと言おうと思ってた。朝まで・・・・いや・・」


空川さんが言葉を切る。


「明日の朝までじゃなくて、ギリギリまで・・日曜の夜まで一緒じゃダメかな?」


「それは・・・・身体の相性次第・・じゃない?」


そう言った私を、空川さんが熱を帯びた視線で射抜く。


「確かめるまでもないと思うけどな」


ベッドに移動し、絡みつくようなキスを交わす。

唇が熱くて、触れられるだけで声が漏れそうになるのを、必死に抑えていた。


時折、控えめに吐息を漏らしていたものの、勝手に身体が反応し始め、うっすらと汗ばんだ。


「我慢してる顔が、余計そそる。だけど、美月がどんな声を出すのか聞いてみたい」


そう言われて声を漏らすと、『俺が我慢できなくなりそうだ』と困ったように笑った。

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