私を、甘えさせてください
揺れる関係
空川さんは5時に起き、『また後で』と帰って行った。
「・・・・というわけで、今日から着任だ。じゃあ空川本部長、ひと言挨拶を」
常務の紹介で、空川さんが本部長着任の挨拶をする。
スーツ姿の彼を見るのは初めてではなかったけれど、なんだか艶っぽく思えて頬が熱くなった。
私の特別な人・・・・。
空川さんの挨拶をまともに聞いているのは管理職ばかりで、一般社員のヒソヒソ声が私の耳にも入った。
『ヤバくない? スペック高すぎ!』
『本部長のアシスタントになりたい!』
『あんなのに来られたら、仕事やりづらいな』
『本当だよ。女性陣、絶対にあっち優先だろ』
常務がゴホンと咳払いし、場を落ち着かせる。
「もうひとり、人材開発1課長も本日付けで着任したから、みんなよろしく」
え? あれ・・は・・・・。
ザワザワとメンバーが解散し始めた頃、その『もうひとり』が私に近付いてくる。
「美月」
私を呼ぶ声に、空川さんが井川に視線を移したのが、私の視界にも入った。
「井川くん・・久しぶりだね」
「あぁ、まさかこんなところで美月に会うとは」
「なんだ、ふたりは知り合いか?」
「常務、永田さんとは同期なんです」
「そうなのか、じゃあ来週の出張も仲良く頼むよ」
常務は、空川さんと役員室に戻って行く。
空川さんは私に一度視線を向けたものの、そのまま常務の後を追った。
「・・・・というわけで、今日から着任だ。じゃあ空川本部長、ひと言挨拶を」
常務の紹介で、空川さんが本部長着任の挨拶をする。
スーツ姿の彼を見るのは初めてではなかったけれど、なんだか艶っぽく思えて頬が熱くなった。
私の特別な人・・・・。
空川さんの挨拶をまともに聞いているのは管理職ばかりで、一般社員のヒソヒソ声が私の耳にも入った。
『ヤバくない? スペック高すぎ!』
『本部長のアシスタントになりたい!』
『あんなのに来られたら、仕事やりづらいな』
『本当だよ。女性陣、絶対にあっち優先だろ』
常務がゴホンと咳払いし、場を落ち着かせる。
「もうひとり、人材開発1課長も本日付けで着任したから、みんなよろしく」
え? あれ・・は・・・・。
ザワザワとメンバーが解散し始めた頃、その『もうひとり』が私に近付いてくる。
「美月」
私を呼ぶ声に、空川さんが井川に視線を移したのが、私の視界にも入った。
「井川くん・・久しぶりだね」
「あぁ、まさかこんなところで美月に会うとは」
「なんだ、ふたりは知り合いか?」
「常務、永田さんとは同期なんです」
「そうなのか、じゃあ来週の出張も仲良く頼むよ」
常務は、空川さんと役員室に戻って行く。
空川さんは私に一度視線を向けたものの、そのまま常務の後を追った。