私を、甘えさせてください
空川さんと遅めのランチを取るために、近所のイタリアンレストランに出かけた。

食後のコーヒーを飲んでいると、空川さんが突然問いかけてきた。


「美月は・・どうして俺を?」

「え?」

「もし聞けるなら、聞いてみたくて」

「それは・・どうして好きになったか?」

「もちろんそれでもいいし、どうして俺のこと、受け入れてくれたのかなって」

「んー。ティラミス追加してよければ、話そうかな」

「アハハ、いいよ。俺も食べる」


追加のオーダーをして、私はゆっくりと思い出しながら話し始めた。


「どこが・・って具体的な答えを求められると困るんだけど、なんて言うのかな・・考えるよりも先に、会いたい、一緒にいたいって心が反応したの」

「改まって言われると、なんか照れるな・・」

「ふふ。もう終わりにする?」


空川さんが首を横に振ったタイミングで、ティラミスが運ばれてくる。

私たちは食べながら話を続けた。


「あの夜だって・・・・一夜限りでもいいって考えてたよ」

「えっ」

「朝まで一緒にいたい・・って、シンプルにそう思ったから。もちろん、抱き合うことも含めてだけど」

「美月・・・・」

「いまも同じ。今朝・・すごく会いたくて、それだけ伝えられたらいいかなって電話したの。
それなのに、空川さんも会いたくて帰ってきてくれたなんて、嬉しいよね」

「・・・・そういうの、反則」

「えっ」

「そんなに俺を喜ばせて、どうするつもり?」


空川さんが椅子から立ち上がり、私の頬に手を添えて軽いキスをした。

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