私を、甘えさせてください
2日後の金曜日。

13時を回ったところで人事担当常務から電話が入り、役員室に向かう。


「永田です」

「どうぞ入って。悪かったね、突然」

「いえ」

「もうひとり来るから、少し待ってて」

「はい」


待っている間、企画中の研修についてアドバイスをもらっていると、ドアをノックする音がした。


「お、来た来た。入って」


ドアの方を振り返り、私は息を飲み込んだ。

失礼します、と言って入って来たのは・・・・空川さんだったから。


「永田さん、こんにちは」

「ん? 空川、もう顔見知りか?」

「ええ。一昨日、帰り際に挨拶だけですが」

「そうだったのか。実は、永田さんに頼みがあって来てもらったんだ」

「頼み・・ですか?」

「午後の私とのミーティングをリスケしてもらって・・・・空川を横浜オフィスに案内してもらえないだろうか?」

「はい・・・・承知しました。オフィス設備のご案内と、管理職メンバーとの顔合わせでよろしいでしょうか」

「うん、それで頼むよ。
終わったら直帰でいいから。空川も戻って来なくていいぞ。来週からよろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


空川さんはそう答え、私を伴って役員室を後にした。

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