私を、甘えさせてください
「悲しくて泣いてるわけじゃないよな?」


うなずいた私に、彼が苦笑いして涙の粒を指ですくった。


「美月、あの・・さ」

「・・なに?」

「俺、いま結構重要なこと言ったと思うんだけど・・」

「・・本能的に止められないってところ?」

「そこかよ・・って、ふざけてるだろ〜」

「ふふっ」


すっ、と抱き寄せられる。

未だに慣れず、ドキドキしてしまう。


「ふざけるヤツは、お仕置きだな」


抱き寄せられた時の手が顎にかかり、彼の方に顔が向けられる。

近づいてくる気配に、自然と瞼が降りる。


「ん? キスすると思った?」


ククッと笑い、彼は私の顎から手を離す。


なんだか悔しくて、私は逆に甘く迫った。

彼の頬に両手を添えて、もう唇が触れる直前まで近づいてから言う。


「死ぬまで、守られたい」


「・・・・そういう甘え方、ほんと困る・・」


触れた唇は、すぐに深さと甘さを増していく。


「甘え上手なのか、煽り上手なのか・・・・やられっぱなしだよ」


首筋から背中を滑る長い指に、ゾクっとした。

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