私を、甘えさせてください
「永田さん、お酒はどのくらい飲めますか?」

「まぁ、人並みに・・」

「じゃあ、このラクというトルコの酒もぜひ味見してください。
少し強めなのでゆっくり・・前菜によく合うので、食事と一緒に」

「はい」


仕事の話やトルコの話をしつつ食事をいただき、最後にスイーツ、バクラヴァというパイが運ばれてきたところで、話題が変わった。


「今日、あなたをお誘いしたのは・・実は弟について、話したいことがあったもので」

「えっ」

「永田さん、弟とはいつから?」

「いつから・・というのは・・」

「あなたが、弟の大切な人だということは分かっていますから」

「・・・・本部長として着任されて、少し経った頃からです」

「そうですか」


どういうことだろうか。

明らかに、私をどうこうという内容ではなさそうだ。

それだけじゃない。
彼と私のことまで知っているなんて。


「弟が、あなたに何をどこまで話しているのか分からないから、ちょっと的外れなことを言うかもしれないが、そこはご理解いただけたらと」

「はい」

「そうだな・・結論からお伝えしましょう。
弟を、拓真を、近いうちにJHコンサルに戻します」


え? クビにしたのに戻す?

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