私を、甘えさせてください
「美月!」
手の届く距離まで近づいた私を、彼は抱き寄せた。
「ごめん待たせて。拓真は・・ご飯食べた?」
「ハラなんて減ってない。美月が心配で・・」
事の真相を知った私はいいけれど、彼は気が気ではなかったはずだ。
「ありがとう、迎えにきてくれて。早く、帰りたいな」
「そう・・だよな。帰ろう」
私を助手席に乗せ、運転席に戻った彼は私の頬に手を添えてキスをした。
「良かった・・本当に。俺、自分で勧めておきながら、すごい後悔した。
もし美月が兄貴と・・って、俺よりも兄貴を選んだら・・って考えてて、怖かった」
「そんなこと、あるわけないよ。だから、悲しい顔しないで。ね?」
「・・・・」
家に戻り、玄関のドアを閉めたあたりで、私の前にいた彼のお腹がグゥーッと鳴った。
「あ・・」
「美月を無事に連れて帰ってきたら、気が緩んだのかな・・ハハ」
照れ笑いする彼に、思わず私も微笑んだ。
「キーマカレー作ろうか。すぐできるよ」
「・・俺、完全に胃袋つかまれてるよなぁ。美月のご飯食べると、癒される」
「またそんな、大げさな〜」
「本当だって! 忙しくて疲れた日も、上手くいかなくて辛い日も、もちろん、嬉しい日もそうだよ・・。
ホカホカの湯気の向こう側で、ニコニコ俺の話を聞いてる美月が、好きで好きで仕方ない・・」
「・・拓真」
「前にも言ったけど、俺は美月さえいれば、他には何もいらないから」
他には何も・・・・。
でもこの人は、仕事も兄弟の絆も、実は何も失ってはいないのだ。
さっきの話を、ちゃんと伝えなければ。
『仲悪いっていうか、俺、兄貴に相当嫌われててさ』
嫌われているどころか、川上の悪手から守ってくれたのは、他でもない空川 和真なのだから。
手の届く距離まで近づいた私を、彼は抱き寄せた。
「ごめん待たせて。拓真は・・ご飯食べた?」
「ハラなんて減ってない。美月が心配で・・」
事の真相を知った私はいいけれど、彼は気が気ではなかったはずだ。
「ありがとう、迎えにきてくれて。早く、帰りたいな」
「そう・・だよな。帰ろう」
私を助手席に乗せ、運転席に戻った彼は私の頬に手を添えてキスをした。
「良かった・・本当に。俺、自分で勧めておきながら、すごい後悔した。
もし美月が兄貴と・・って、俺よりも兄貴を選んだら・・って考えてて、怖かった」
「そんなこと、あるわけないよ。だから、悲しい顔しないで。ね?」
「・・・・」
家に戻り、玄関のドアを閉めたあたりで、私の前にいた彼のお腹がグゥーッと鳴った。
「あ・・」
「美月を無事に連れて帰ってきたら、気が緩んだのかな・・ハハ」
照れ笑いする彼に、思わず私も微笑んだ。
「キーマカレー作ろうか。すぐできるよ」
「・・俺、完全に胃袋つかまれてるよなぁ。美月のご飯食べると、癒される」
「またそんな、大げさな〜」
「本当だって! 忙しくて疲れた日も、上手くいかなくて辛い日も、もちろん、嬉しい日もそうだよ・・。
ホカホカの湯気の向こう側で、ニコニコ俺の話を聞いてる美月が、好きで好きで仕方ない・・」
「・・拓真」
「前にも言ったけど、俺は美月さえいれば、他には何もいらないから」
他には何も・・・・。
でもこの人は、仕事も兄弟の絆も、実は何も失ってはいないのだ。
さっきの話を、ちゃんと伝えなければ。
『仲悪いっていうか、俺、兄貴に相当嫌われててさ』
嫌われているどころか、川上の悪手から守ってくれたのは、他でもない空川 和真なのだから。