私を、甘えさせてください
「あー、美味かった。コーヒー、美月も飲むか?」

「うん。ありがとう」


どうぞ・・と、カップを置いてくれた。

立ちのぼる香りも味わいつつ、ひと口飲んで話を始める。


「ね、拓真。聞いてきたよ。私を誘った理由と、シニアパートナーに就いた理由」

「え?」

「知りたいって、言ってたよね?」

「言ったけど・・教えてくれたのか?」

「んー、教えてくれたというか、向こうから話してくれた」

「・・そう・・なんだ。なんか、ちょっと聞くの怖いな」

「そっか・・今は止める?」


視線を窓の外に移して、彼はぼんやりと夜の景色を眺めている。


「聞くのが怖いのは・・聞いてしまったら、美月との関係が変わる気がして・・」

「え?」

「兄貴と会ってからも、美月は変わらずに接してくれてるけど、実はもう心の中では別れようと思ってるんじゃないか・・とか、悪い方に考えちゃって」


情けないよな・・と、手元のコーヒーをのぞき込むように目を伏せた。

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