私を、甘えさせてください
「ただいまー・・」

「おかえり。今夜は、予定無いの?」

「え? なんで?」

「ここ何日かいなかったから、お兄さんと今後の話をしてるんだろうなと思って」

「あー、うん・・まぁ、話はついたから」

「そうなんだ」

「あれ? 何、この段ボール」


玄関に積んであった段ボール箱が視界に入ったようだ。


「もう履かなくなった靴とか、着なくなった服を処分しようと思って。
隙間がないと、新しいものも入らないしね」

「ふーん・・」

「ご飯は?」

「あんまり腹減ってないから、大丈夫かな。昼がかなり遅かったから」

「そっか」

「うん・・」


なんだか、よそよそしい。
お互いに隠していることがあるからだろう。


「美月、あの・・さ」

「うん」

「仕事・・・・いや、なんでもない」


仕事・・もしかして、海外勤務のことがバレてしまった・・?


「美月・・海外って、何ヵ国くらい行ったことある?」

「え? 一時入国除いたら、4かな」

「そっか、どこ行ったの?」

「アメリカ、韓国、オーストラリア、香港だよ」


私の勤務候補地は、オーストラリアか香港で最終調整中だと聞いている。


「その4ヵ国なら俺も全部行ったことあるけど、どこも良かったな。
美月と一緒に、また行きたい」


一緒に、行きたい・・?

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