くたびれOL、魔王様の抱き枕を拝命いたしました!?

 先程された挨拶と同じなのに、シルヴァリスにされるとすごく恥ずかしい。
 頬を赤らめる理子の反応に、満足したシルヴァリスは口の端を吊り上げた。
 片手は繋いだまま、もう片手の人差し指でシルヴァリスはローズピンク色へと変化している胸元の印をなぞる。

「もうすぐ、この印は真紅へ変化しよう」

 聞いているだけで背中が粟立つような色を含んだ、愉悦に満ちた声色で言われて理子は全身が熱を帯びるの感じた。

「ひゃっ」

 胸元の印を撫でていた指が、スルリとドレスの中と侵入する。
 胸の形を確かめように進む指先を、理子は慌てて押さえた。

「ちょ、ちょっと待って! シルヴァリス様、お願いがあります。彼方の世界で仕事を辞めるとか色んな手続きとかしたいので、仕事の後に自由な時間をください」
「何だと?」

 ピクリッ、胸を弄っていたシルヴァリスの指が止まる。
 焦った勢いで言い切った理子は、こほこほと噎せてしまった。

「それと今週末、三日後は実家に帰りたいので彼方の世界で過ごしてもいいですか? 久しぶりに父親と話したいの」
「王妃教育が出来ないと、侍女長が残念がるな」

 目を細めると、シルヴァリスはドレスの胸元から侵入させていた指を抜いた。

「実家に帰ってもいいの? シルヴァリス様は、」

 寂しく無いの? とは、口には出せずに理子はじっとシルヴァリスを見上げた。
 胸に触れていた指先は、するする頬を滑り落ちて顎を掴む。

「今日は、寂しかったのか?」

 そう問いかける声には甘いものが混じっていた。
 赤い瞳の中に映り込む自分の姿に、理子は頬に熱が集中するのを感じて、コクリッと素直に頷く。

「クククッ、お前は本当に可愛い女だ」

 近くなるシルヴァリスとの距離。
 彼が求めるものを察した理子は、そっと目蓋を閉じた。

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