くたびれOL、魔王様の抱き枕を拝命いたしました!?
「リコ様、お待ちしておりました」
一足先に到着していた魔国で私の世話をしてくれている二人の侍女が、エルザとルーアンが薄い黄色のブライズメイドの衣装で出迎えてくれた。
「お足元にお気をつけください」
御者に支えられながら馬車を下りた理子は、使用人達に出迎えられた。
ウェディングドレスへの着替えがあるため、父親とは別の控え室へ通される。
せっかくの城内なのに、控え室への道程は緊張のあまり装飾品等見る余裕も無かった。
「此方でございます」
控え室へ通され、用意されていたウエディングドレスの美しさに、理子は感嘆の息を吐いた。
「綺麗……」
光沢のある生地はシルクで、ドレスの形はAラインのロングトレーン。細部に銀糸で刺繍や小さなダイヤが散りばめられた美しいドレスだった。
ベールはミドル丈のマリアベールで、こちらも細部まで細かな刺繍が入れられてたエレガントなデザイン。
以前、冠婚葬祭マナーを知りたくて購入したウェディング雑誌に載っていたどのドレスよりも、理子のために用意されたドレスは綺麗で贅を凝らしたものだと分かる。
この短期間でこれだけのドレスを用意するのは大変だったろう。
「魔王様の指示で、魔国の職人達が連日徹夜で作り上げたドレスです。魔王様の愛を感じますわ~」
両手を胸に当て、うっとりとエルザは頬を染める。
「魔国の婚姻では、漆黒のドレスが主流ですけど此方は純白のドレスなので驚きましたわ。純白のドレスも美しいですわね」
「魔国は漆黒のドレスなんだ?」
ルーアンは嬉しそうに「はい」と頷く。
「さあ、リコ様お召し替えをいたしましょう」
ついに、このウェディングドレスを着るんだ。
花嫁姿になると改めて実感して、姿見の前へ移動した理子はごくりっと唾を飲み込んだ。
トントン、
控え室の扉がノックされ、エルザが扉を開ける。
もうチャペルへ移動するのかと、理子は表情を強張らせるが、直ぐに和らげた。
「リコ様」
扉から顔を覗かせたのは、煌めく金髪を毛先だけゆるく巻いた美少女、ベアトリクス侯爵令嬢だった。
最近の彼女は髪型を縦ロールにはせず、ストレートのままにしたらしい。
「ベアトリクスさんっ」
相変わらず綺麗な彼女は、此方の世界に合わせてくれているのか、膝丈の水色のパーティードレスを着て細く長い脚を出している。
脚を出すのは慣れていないようで、若干恥ずかしそうなのも可愛らしい。
「この度はおめでとうございます。リコ様、とてもお綺麗ですわ。ふふふっ本日はショーマも一緒ですの。きっとショーマも見惚れてしまいますわね」
さすがに、花嫁の控え室へ連れて来るわけにはいかず、翔真はチャペルで待っているらしい。
「ベアトリクスさんは翔真君と婚約したのよね。お似合いの二人で私も嬉しい。おめでとう」
美少女と美少年の二人は、年頃も合うしとてもお似合いだと思う。
素直に伝えれば、ベアトリクスは頬を赤く染める。
「お似合いだなんて……ありがとうございます」
見た目はきつめな美少女の可愛らしい反応に、緊張感がほんの少し和らいだ気がした。
ウェディングドレスに着替え、ベールを頭から被った理子は礼拝堂へと移動した。
重厚の扉の向こう側からは、厳かなパイプオルガンの調べが礼拝堂の周囲に響き渡る。
「理子、すごく綺麗だよ。うう、まさか理子のドレス姿を見られるなんて……」
既に目元を潤ませている父親に誉められると、なんだか妙にくすぐったい。
付き添いの二人の侍女によってドレスの裾が整えられると、重厚な木製の扉がゆっくりと開かれた。
一足先に到着していた魔国で私の世話をしてくれている二人の侍女が、エルザとルーアンが薄い黄色のブライズメイドの衣装で出迎えてくれた。
「お足元にお気をつけください」
御者に支えられながら馬車を下りた理子は、使用人達に出迎えられた。
ウェディングドレスへの着替えがあるため、父親とは別の控え室へ通される。
せっかくの城内なのに、控え室への道程は緊張のあまり装飾品等見る余裕も無かった。
「此方でございます」
控え室へ通され、用意されていたウエディングドレスの美しさに、理子は感嘆の息を吐いた。
「綺麗……」
光沢のある生地はシルクで、ドレスの形はAラインのロングトレーン。細部に銀糸で刺繍や小さなダイヤが散りばめられた美しいドレスだった。
ベールはミドル丈のマリアベールで、こちらも細部まで細かな刺繍が入れられてたエレガントなデザイン。
以前、冠婚葬祭マナーを知りたくて購入したウェディング雑誌に載っていたどのドレスよりも、理子のために用意されたドレスは綺麗で贅を凝らしたものだと分かる。
この短期間でこれだけのドレスを用意するのは大変だったろう。
「魔王様の指示で、魔国の職人達が連日徹夜で作り上げたドレスです。魔王様の愛を感じますわ~」
両手を胸に当て、うっとりとエルザは頬を染める。
「魔国の婚姻では、漆黒のドレスが主流ですけど此方は純白のドレスなので驚きましたわ。純白のドレスも美しいですわね」
「魔国は漆黒のドレスなんだ?」
ルーアンは嬉しそうに「はい」と頷く。
「さあ、リコ様お召し替えをいたしましょう」
ついに、このウェディングドレスを着るんだ。
花嫁姿になると改めて実感して、姿見の前へ移動した理子はごくりっと唾を飲み込んだ。
トントン、
控え室の扉がノックされ、エルザが扉を開ける。
もうチャペルへ移動するのかと、理子は表情を強張らせるが、直ぐに和らげた。
「リコ様」
扉から顔を覗かせたのは、煌めく金髪を毛先だけゆるく巻いた美少女、ベアトリクス侯爵令嬢だった。
最近の彼女は髪型を縦ロールにはせず、ストレートのままにしたらしい。
「ベアトリクスさんっ」
相変わらず綺麗な彼女は、此方の世界に合わせてくれているのか、膝丈の水色のパーティードレスを着て細く長い脚を出している。
脚を出すのは慣れていないようで、若干恥ずかしそうなのも可愛らしい。
「この度はおめでとうございます。リコ様、とてもお綺麗ですわ。ふふふっ本日はショーマも一緒ですの。きっとショーマも見惚れてしまいますわね」
さすがに、花嫁の控え室へ連れて来るわけにはいかず、翔真はチャペルで待っているらしい。
「ベアトリクスさんは翔真君と婚約したのよね。お似合いの二人で私も嬉しい。おめでとう」
美少女と美少年の二人は、年頃も合うしとてもお似合いだと思う。
素直に伝えれば、ベアトリクスは頬を赤く染める。
「お似合いだなんて……ありがとうございます」
見た目はきつめな美少女の可愛らしい反応に、緊張感がほんの少し和らいだ気がした。
ウェディングドレスに着替え、ベールを頭から被った理子は礼拝堂へと移動した。
重厚の扉の向こう側からは、厳かなパイプオルガンの調べが礼拝堂の周囲に響き渡る。
「理子、すごく綺麗だよ。うう、まさか理子のドレス姿を見られるなんて……」
既に目元を潤ませている父親に誉められると、なんだか妙にくすぐったい。
付き添いの二人の侍女によってドレスの裾が整えられると、重厚な木製の扉がゆっくりと開かれた。