くたびれOL、魔王様の抱き枕を拝命いたしました!?
魔王の抱き枕になる
1.添い寝係? いいえ抱き枕
ジェットコースターみたいな一日が終わり、理子は久々に定時退勤することが出来た。
帰宅後、人事部所属の香織から「まだ内緒だからね」と前置きされてから、スマートフォンへ田島係長と高木さんの処遇について連絡が来て、理子は溜息を吐く。
田島係長は、奥さまへの慰謝料とお子さまへの養育費のために辞職は許されず、陸の孤島と呼ばれている地方の営業所へ異動となる予定らしい。
部下は退職間際男性社員のみで、もう悪さは出来ない筈だと香織から(笑)マークが送られてきた。
逆恨みから理子へ飛び掛かってきて、見えない何かに反撃されたらしい高木さんは「化け物が襲ってくる」とずっと錯乱したままだったそうだ。
泣きわめき続けて医務室へ運んでも手に終えず、連絡を受けた親御さんが迎えに来て病院へ連れて行かれたと、退勤間際に課長がこっそりと教えてくれた。
彼女が何を見て怯えているのは分からないが、おそらくはこのまま職場へ顔を出すことも無く退職するだろう。
三カ月余りの不倫の代償にしてはきつい処分だ、とは思えない。
二人とも就業時間内に社用車でのホテル利用や、理子や山本さんへ仕事を押し付けていたことが判明し悪質だと上に判断された、ということだった。
「本当にいろいろあった、長い一日だったなー」
肩まで湯船に浸かった理子は、狭いバスタブの中いっぱいに手足を伸ばす。
自分の声が浴室に反響して聞こえるのは久々で楽しく感じる。
ここ一ヶ月半の入浴はシャワーだけで済ませていたせいか、のんびりお湯に浸かれるだけでも幸せだと感じられた。
課長と高木さんの処遇を知って後味が少しだけ悪い。
悪いと思う反面、ざまぁみろって舌を出している自分がいて心を病む寸前までいったせいで自分でも性格が悪くなったなと、自嘲気味な笑みを浮かべる。
明日は予定が何もない完全な休みだ。
目的も無く街をブラブラ歩いてみようかと、理子は笑う。
(お風呂から上がったら、近場に落ち着いたカフェが無いか調べてみよう)
ドラッグストアで入浴剤を買ってきて、明日は入浴剤入りお風呂に入るのもいい。
それから、天気がよかったら部屋の掃除をして布団でも干そうか。
休みの日に何をしたらいいのか悩むのが贅沢に感じるだなんて、今までの無理がたたって理子の気分は高揚していた。
(ビール、じゃなくてたまには梅酒を飲んで寝ようっと)
体についた水滴をバスタオルで拭き取り、脱衣所に理子は用意しておいた寝間着に着替える。
長風呂をして火照った体を冷ますため、Tシャツはまだ着ないで上半身はキャミソールのままで洗面所のドアを開けた。
タブレットで調べものをしながら、まったりと梅酒を水割りで飲もうかと顔がニヤける。
風呂上がりは暑いため髪を乾かすのは後だと、理子は肩にタオルを掛けて、鼻歌混じりに洗面所から一歩足を踏み出しー、
「えっ」
パアアアアー!
足の指先をつけた瞬間、床が朱金の輝きを放ち解読不能な文字で形成された魔方陣が床に出現した。
魔方陣から伸びた朱金の光が理子の足から全身へ絡み付いていき、体勢を崩して体が傾ぐ。
「ちょっ、待って⁉」
これは、先日と同じ異世界へ自分を召喚するための魔法陣なのか。
抵抗することも出来ずに、理子の体は魔方陣の中心へと引きずり込まれていった。
帰宅後、人事部所属の香織から「まだ内緒だからね」と前置きされてから、スマートフォンへ田島係長と高木さんの処遇について連絡が来て、理子は溜息を吐く。
田島係長は、奥さまへの慰謝料とお子さまへの養育費のために辞職は許されず、陸の孤島と呼ばれている地方の営業所へ異動となる予定らしい。
部下は退職間際男性社員のみで、もう悪さは出来ない筈だと香織から(笑)マークが送られてきた。
逆恨みから理子へ飛び掛かってきて、見えない何かに反撃されたらしい高木さんは「化け物が襲ってくる」とずっと錯乱したままだったそうだ。
泣きわめき続けて医務室へ運んでも手に終えず、連絡を受けた親御さんが迎えに来て病院へ連れて行かれたと、退勤間際に課長がこっそりと教えてくれた。
彼女が何を見て怯えているのは分からないが、おそらくはこのまま職場へ顔を出すことも無く退職するだろう。
三カ月余りの不倫の代償にしてはきつい処分だ、とは思えない。
二人とも就業時間内に社用車でのホテル利用や、理子や山本さんへ仕事を押し付けていたことが判明し悪質だと上に判断された、ということだった。
「本当にいろいろあった、長い一日だったなー」
肩まで湯船に浸かった理子は、狭いバスタブの中いっぱいに手足を伸ばす。
自分の声が浴室に反響して聞こえるのは久々で楽しく感じる。
ここ一ヶ月半の入浴はシャワーだけで済ませていたせいか、のんびりお湯に浸かれるだけでも幸せだと感じられた。
課長と高木さんの処遇を知って後味が少しだけ悪い。
悪いと思う反面、ざまぁみろって舌を出している自分がいて心を病む寸前までいったせいで自分でも性格が悪くなったなと、自嘲気味な笑みを浮かべる。
明日は予定が何もない完全な休みだ。
目的も無く街をブラブラ歩いてみようかと、理子は笑う。
(お風呂から上がったら、近場に落ち着いたカフェが無いか調べてみよう)
ドラッグストアで入浴剤を買ってきて、明日は入浴剤入りお風呂に入るのもいい。
それから、天気がよかったら部屋の掃除をして布団でも干そうか。
休みの日に何をしたらいいのか悩むのが贅沢に感じるだなんて、今までの無理がたたって理子の気分は高揚していた。
(ビール、じゃなくてたまには梅酒を飲んで寝ようっと)
体についた水滴をバスタオルで拭き取り、脱衣所に理子は用意しておいた寝間着に着替える。
長風呂をして火照った体を冷ますため、Tシャツはまだ着ないで上半身はキャミソールのままで洗面所のドアを開けた。
タブレットで調べものをしながら、まったりと梅酒を水割りで飲もうかと顔がニヤける。
風呂上がりは暑いため髪を乾かすのは後だと、理子は肩にタオルを掛けて、鼻歌混じりに洗面所から一歩足を踏み出しー、
「えっ」
パアアアアー!
足の指先をつけた瞬間、床が朱金の輝きを放ち解読不能な文字で形成された魔方陣が床に出現した。
魔方陣から伸びた朱金の光が理子の足から全身へ絡み付いていき、体勢を崩して体が傾ぐ。
「ちょっ、待って⁉」
これは、先日と同じ異世界へ自分を召喚するための魔法陣なのか。
抵抗することも出来ずに、理子の体は魔方陣の中心へと引きずり込まれていった。