くたびれOL、魔王様の抱き枕を拝命いたしました!?
甘い絞った果汁の中にほのかな酸味が感じられる、女性に好まれそうな飲みやすい味のお酒。
どちらかと言えば辛味より甘味がある酒を好む理子は、魔王のチョイスに少しだけ感激してしまった。
「果実酒? 美味しいー」
グラスに残った酒を一気に飲み干した理子は、上機嫌でボトルからピンク色の果実酒を空になったワイングラスへ注いでいく。
(あれ? 頭が、グラグラする……)
三杯目のおかわりをして、グラスのふちに口つけたところまでは意識がハッキリしていた。
何故かはよく分からないけれども、頭の中がゆらゆら揺れている気がする。
段々目蓋が重くなって、ぼやける視界に理子は首を軽く振った。
アルコールには強い筈なのに、体が熱くて頭の中がグラグラふわふわして思考が定まらない。
グラグラふわふわして困惑いるのに、目の前でワインを飲む魔王は変わらず平然としている。
時々、彼がこちらを観察するように見ているのが気になっていた。
魔王が自分を観察してくるなら、こっちも日記を付けるくらい観察してやる。と鼻息を荒くして理子は魔王を見詰めた。
銀髪赤目の綺麗な魔王様は、ただ座っているだけなのに優雅で、完璧すぎて、憎たらしい。
関わらないで眺めるだけなら鑑賞用として最高の逸材なのに。
「まおーさまは何で無駄にイケメンなのよ」
「イケメン? 何だそれは」
さらりと、顔にかかった銀髪を指で払う仕草でさえ、色気が漂っていて理子は「けっ」と唇を尖らす。
「女の敵になるよーなイケメンなんか滅んじゃえばいいんだー」
握り拳を作って言い放てば、イケメンこと魔王は片方の眉を器用に上げた。
「酔った上とはいえ、我の滅びを望むとはな」
コトンッと音をたてて、冷笑を浮かべた魔王はテーブルにワイングラスを置いた。
「まったくお前は、いい度胸をしている」
「あっ」
魔王が言い終わった瞬間、理子の持っていたワイングラスは手の内から消える。
「もう終いだ。伝え忘れていたが、魔国の酒は人が飲む酒より悪酔いしやすいのだ」
悪酔いしやすいとしても、グラスをいきなり消すことも無いじゃないか。
むっとした理子は、魔王を睨む。
「そう膨れるな。無理矢理眠らせるぞ」
「じゃあ、もう寝る」
プイッと横を向いて立ち上がった理子は……目眩に襲われて思いっきりよろめいた。
「あれ?」
よろめいて、床に膝を突きかけた理子の腹部へ瞬時に腕が回され、後ろから抱き抱えられる。
「まおーさまは抱っこするのが好きなんですか?」
体を反転されて横抱きとなった理子は、急激な眠気に朦朧としながら魔王を見上げる。
「……お前は抱き心地がいいからな」
「えへへっ、わたし、まおーさまにぎゅっされるのは好きですよー」
すっかり酔っ払い全身を真っ赤に染めた理子は、魔王の胸元に頬をくっつけて、へにゃりっと笑う。
ベッドへ向かう足が止めて、魔王が目を丸くして見下ろしていた、ような気がした。
翌朝、携帯電話の目覚ましアラームの音で目覚めた理子は重たい瞼を開いた。
何時も通りの、自室のベッドでの目覚め。
しかし、昨夜の事を思い出そうとした理子は頭を抱えてしまった。
(昨日……お酒を飲みはじめてからの記憶が無い。私、何かやっちゃったかな?)
魔王に向かって何か言ったのは、何となく覚えていた。元の世界へ生きて戻って来たということは、許される範囲の絡みだったのだろうか。
(とりあえず、今夜向こうへ行ったら謝らなきゃ)
ベッドに寝転んだまま伸びをしてかれ、勢いよくベッドから飛び起きた。
どちらかと言えば辛味より甘味がある酒を好む理子は、魔王のチョイスに少しだけ感激してしまった。
「果実酒? 美味しいー」
グラスに残った酒を一気に飲み干した理子は、上機嫌でボトルからピンク色の果実酒を空になったワイングラスへ注いでいく。
(あれ? 頭が、グラグラする……)
三杯目のおかわりをして、グラスのふちに口つけたところまでは意識がハッキリしていた。
何故かはよく分からないけれども、頭の中がゆらゆら揺れている気がする。
段々目蓋が重くなって、ぼやける視界に理子は首を軽く振った。
アルコールには強い筈なのに、体が熱くて頭の中がグラグラふわふわして思考が定まらない。
グラグラふわふわして困惑いるのに、目の前でワインを飲む魔王は変わらず平然としている。
時々、彼がこちらを観察するように見ているのが気になっていた。
魔王が自分を観察してくるなら、こっちも日記を付けるくらい観察してやる。と鼻息を荒くして理子は魔王を見詰めた。
銀髪赤目の綺麗な魔王様は、ただ座っているだけなのに優雅で、完璧すぎて、憎たらしい。
関わらないで眺めるだけなら鑑賞用として最高の逸材なのに。
「まおーさまは何で無駄にイケメンなのよ」
「イケメン? 何だそれは」
さらりと、顔にかかった銀髪を指で払う仕草でさえ、色気が漂っていて理子は「けっ」と唇を尖らす。
「女の敵になるよーなイケメンなんか滅んじゃえばいいんだー」
握り拳を作って言い放てば、イケメンこと魔王は片方の眉を器用に上げた。
「酔った上とはいえ、我の滅びを望むとはな」
コトンッと音をたてて、冷笑を浮かべた魔王はテーブルにワイングラスを置いた。
「まったくお前は、いい度胸をしている」
「あっ」
魔王が言い終わった瞬間、理子の持っていたワイングラスは手の内から消える。
「もう終いだ。伝え忘れていたが、魔国の酒は人が飲む酒より悪酔いしやすいのだ」
悪酔いしやすいとしても、グラスをいきなり消すことも無いじゃないか。
むっとした理子は、魔王を睨む。
「そう膨れるな。無理矢理眠らせるぞ」
「じゃあ、もう寝る」
プイッと横を向いて立ち上がった理子は……目眩に襲われて思いっきりよろめいた。
「あれ?」
よろめいて、床に膝を突きかけた理子の腹部へ瞬時に腕が回され、後ろから抱き抱えられる。
「まおーさまは抱っこするのが好きなんですか?」
体を反転されて横抱きとなった理子は、急激な眠気に朦朧としながら魔王を見上げる。
「……お前は抱き心地がいいからな」
「えへへっ、わたし、まおーさまにぎゅっされるのは好きですよー」
すっかり酔っ払い全身を真っ赤に染めた理子は、魔王の胸元に頬をくっつけて、へにゃりっと笑う。
ベッドへ向かう足が止めて、魔王が目を丸くして見下ろしていた、ような気がした。
翌朝、携帯電話の目覚ましアラームの音で目覚めた理子は重たい瞼を開いた。
何時も通りの、自室のベッドでの目覚め。
しかし、昨夜の事を思い出そうとした理子は頭を抱えてしまった。
(昨日……お酒を飲みはじめてからの記憶が無い。私、何かやっちゃったかな?)
魔王に向かって何か言ったのは、何となく覚えていた。元の世界へ生きて戻って来たということは、許される範囲の絡みだったのだろうか。
(とりあえず、今夜向こうへ行ったら謝らなきゃ)
ベッドに寝転んだまま伸びをしてかれ、勢いよくベッドから飛び起きた。