くたびれOL、魔王様の抱き枕を拝命いたしました!?
やはり亜子に甘過ぎる母親が不在で庇ってもらえず、父親にキレられて此方へ逃げてきたらしい。
理子から見た父親は、普通の感覚の持ち主だ。
十代ならば尻拭いはしてやっても、二十代後半になってもふわふわしている姉を父親は何とかしようと頑張っていた。
しかし、母親は可愛い物が大好きな人で、姉妹では外見が可愛らしい姉の事が大好きで堪らないらしく、母親が姉を甘やかすのだ。
実家から離れて、自立する道を選んだ可愛くない妹と正反対の手がかかる可愛い姉。
母親に甘やかされ好き勝手をしているよう姉は、恋愛も結婚するまでは自由恋愛と好き勝手なことを言っており、昔から派手にやり過ぎていた。
「亜子お姉ちゃん、そのうち刺されるんじゃないの?いや、刺された方がいいよ」
「理子ちゃんもお父さんと同じこと言うなんて、ひどいっ!」
憤慨する姉を呆れた目で見ていた理子は、数々の男性遍歴の中でも誠実そうな男性と付き合ってくれていたと、少しは落ち着いたかもしれないと喜んでいた父親の顔を思い浮かべていた。
両手で顔を覆い泣いていた亜子が、がばっと顔を上げ、心の声が聞こえてしまったかと、理子は身構えた。
「理子ちゃんっ」
顔を上げた亜子は、アイメイクが崩れてパンダ状態になっている目元がホラーで、理子は上半身を若干引いた。
「理子ちゃんはどうなの? 彼氏は? 仲良い男友達はいないの?」
いない、と言いかけてふと考える。
姉の亜子は、股がけ交際をしても平気な思考をしているが、その分男関係の経験は豊富だ。男関係以外の考えはいたって普通のはず。
「気になる人は、いる、のかなぁ?」
「マジ!? どんな人? イケメン!?」
社会人になってから浮いた話が一つも無かった理子の返事に、亜子は瞳を輝かせた。
「会社の先輩と最近仲良くなってね。優しいし、爽やかだしいいなって勝手に思っているだけ」
「気になるなら告白して付き合っちゃえばいいじゃん。告白無理なら、飲みに行ってガンガン飲ませて酔わせてホテルへ連れ込むとかさ。写真撮っておけば証拠になるよ~」
ニヤリッと口角を上げた亜子は、真っ黒の目元も相まって悪女に見えた。
ヘタしたら犯罪になる行為をやったことがあるのか、と理子は口元がひくつくのを感じた。
「亜子お姉ちゃんに相談した私が馬鹿だったわ」
実の姉がそんな手段で男を落としていたとは、ドン引きどころではない。餌食になった男性が哀れだ。
「もーひどーい! 早くしなきゃ誰かに持ってかれちゃうよ?」
「そんな手段を使うくらいなら振られた方がマシだわ。あ、あとね、実は、気になる人はもう一人いて。そっちの人は私は女として見てないし、恋愛対象とは違う感じだし、その人は見た目観賞用なら最高だけど、喧嘩しちゃったし、これからどう接したらいいか困っている」
魔王の事は何て説明したらいいか分からなくて、しどろもどろになってしまった。
異世界の人外魔王様と言ったら、頭がおかしくなったと思うだろう。
姉の助言はあてにならないと分かった。
ただ、誰かに彼の事を聞いてもらいたかったのだ。
「何それ? 二人の男の間で理子ちゃんは揺れているってこと?だからか。だから理子ちゃん綺麗になっているのか。それは恋だね」
現実主義で頭が固い理子の珍しい発言に、亜子はパンダになっている目を丸くした後、腕組みをしてぶつぶつ呟き出した。
「会社の人と付き合う方が、将来的に楽でいいと思うけど、もう一人に女扱いされなくてショックだったんなら、その人が好きなんじゃないの? 会社の人と付き合ってみる前に、両方と相性を試してみたら?」
「相性?」
何の相性かと理子は首を傾げる。
「そ、体の相性! これは重要よ。たか君とは体の相性がイマイチだから困っているのよ」
「か、からだっ⁉ 亜子お姉ちゃんと一緒にしないでよ」
とんでもない亜子の発言に、理子の頬は真っ赤に染まった。
理子から見た父親は、普通の感覚の持ち主だ。
十代ならば尻拭いはしてやっても、二十代後半になってもふわふわしている姉を父親は何とかしようと頑張っていた。
しかし、母親は可愛い物が大好きな人で、姉妹では外見が可愛らしい姉の事が大好きで堪らないらしく、母親が姉を甘やかすのだ。
実家から離れて、自立する道を選んだ可愛くない妹と正反対の手がかかる可愛い姉。
母親に甘やかされ好き勝手をしているよう姉は、恋愛も結婚するまでは自由恋愛と好き勝手なことを言っており、昔から派手にやり過ぎていた。
「亜子お姉ちゃん、そのうち刺されるんじゃないの?いや、刺された方がいいよ」
「理子ちゃんもお父さんと同じこと言うなんて、ひどいっ!」
憤慨する姉を呆れた目で見ていた理子は、数々の男性遍歴の中でも誠実そうな男性と付き合ってくれていたと、少しは落ち着いたかもしれないと喜んでいた父親の顔を思い浮かべていた。
両手で顔を覆い泣いていた亜子が、がばっと顔を上げ、心の声が聞こえてしまったかと、理子は身構えた。
「理子ちゃんっ」
顔を上げた亜子は、アイメイクが崩れてパンダ状態になっている目元がホラーで、理子は上半身を若干引いた。
「理子ちゃんはどうなの? 彼氏は? 仲良い男友達はいないの?」
いない、と言いかけてふと考える。
姉の亜子は、股がけ交際をしても平気な思考をしているが、その分男関係の経験は豊富だ。男関係以外の考えはいたって普通のはず。
「気になる人は、いる、のかなぁ?」
「マジ!? どんな人? イケメン!?」
社会人になってから浮いた話が一つも無かった理子の返事に、亜子は瞳を輝かせた。
「会社の先輩と最近仲良くなってね。優しいし、爽やかだしいいなって勝手に思っているだけ」
「気になるなら告白して付き合っちゃえばいいじゃん。告白無理なら、飲みに行ってガンガン飲ませて酔わせてホテルへ連れ込むとかさ。写真撮っておけば証拠になるよ~」
ニヤリッと口角を上げた亜子は、真っ黒の目元も相まって悪女に見えた。
ヘタしたら犯罪になる行為をやったことがあるのか、と理子は口元がひくつくのを感じた。
「亜子お姉ちゃんに相談した私が馬鹿だったわ」
実の姉がそんな手段で男を落としていたとは、ドン引きどころではない。餌食になった男性が哀れだ。
「もーひどーい! 早くしなきゃ誰かに持ってかれちゃうよ?」
「そんな手段を使うくらいなら振られた方がマシだわ。あ、あとね、実は、気になる人はもう一人いて。そっちの人は私は女として見てないし、恋愛対象とは違う感じだし、その人は見た目観賞用なら最高だけど、喧嘩しちゃったし、これからどう接したらいいか困っている」
魔王の事は何て説明したらいいか分からなくて、しどろもどろになってしまった。
異世界の人外魔王様と言ったら、頭がおかしくなったと思うだろう。
姉の助言はあてにならないと分かった。
ただ、誰かに彼の事を聞いてもらいたかったのだ。
「何それ? 二人の男の間で理子ちゃんは揺れているってこと?だからか。だから理子ちゃん綺麗になっているのか。それは恋だね」
現実主義で頭が固い理子の珍しい発言に、亜子はパンダになっている目を丸くした後、腕組みをしてぶつぶつ呟き出した。
「会社の人と付き合う方が、将来的に楽でいいと思うけど、もう一人に女扱いされなくてショックだったんなら、その人が好きなんじゃないの? 会社の人と付き合ってみる前に、両方と相性を試してみたら?」
「相性?」
何の相性かと理子は首を傾げる。
「そ、体の相性! これは重要よ。たか君とは体の相性がイマイチだから困っているのよ」
「か、からだっ⁉ 亜子お姉ちゃんと一緒にしないでよ」
とんでもない亜子の発言に、理子の頬は真っ赤に染まった。