くたびれOL、魔王様の抱き枕を拝命いたしました!?
どうしてこうなったのだろうか。
こんな事をする人は、漫画やアニメの世界だけだと思っていた。
まさか、人々が行き交う往来で見た目からして不潔で柄の悪い酔っ払いの男二人に絡まれるとは。理子は目の前の男達を困惑の表情で見上げた。
「余所見していたせいで……すいませんでした」
なるべく刺激しないようにと下手に出たのに、男達は鼻で笑う。
「お嬢ちゃん! どうしてくれんだぁ!」
「そっちからぶつかって来たのに、ごめんなさいだけで済まそうって言うのか!?」
ああ、何でこうもお決まりの台詞を吐くんだ。
これが、テレビや漫画の世界や第三者なら「ほー捻りがないわね」っと笑ってやりたいところだが、異世界の見知らぬ町で自分が体験するとなれば怖い。
「いや、謝っているじゃないですか」
若い娘が酔っ払いに絡まれている姿は一目瞭然で、揉めている声は聞こえているはずなのに行き交う人は此方を一瞥するだけで足早に立ち去るだけ。止めに入る者や自警団に連絡しようする者はしない。
助けてもらえないのはショックだが、理子の見た目は冒険者だから自分で何とかすると思われているのか。
明らかに酔っ払った柄の悪い男達を諫めたら、自身に火の粉が降りかかるのが嫌で関わらないのだろうか。
誰だって面倒事に関わるのは嫌だ。警察も正義の味方からの助けも無い。逃げられないのならば自力で何とかするしかないのか。
「謝るだけで許すと思ってるのかよ!」
「ぶつかられたせいで足を挫いちまったんだよ!」
黙ってしまった理子に、男達は厭らしい笑みを浮かべる。
「当然、医者に行く金と仕事が出来なくなった分の金を貰わなきゃならねぇ」
男達は私が怯えていると思ったらしく、ニタニタと下品に笑う。
「こんなベタな展開になるとは……」
衣料品店の店主から気を付けるように言われたのに、クレープや生搾りフルーツジュース屋台での買い食いに夢中で注意力が散漫になっていた。
折角、城の外へ出られたのに泣きそうだ。
「おい! お嬢ちゃん聞いてんのか!」
男の一人に無理矢理肩を掴まれて、至近距離で話されたものだから生臭い息が顔にかかり、理子は思いっきり顔を歪めた。
まさか酔っ払いに絡まれるとは、息も臭いし最悪で涙が出そうになる。
肩を捕まれて凄まれた恐怖と嫌悪感を感じ取ったのか、右耳の深紅の玉が熱を持つ。
(駄目、大丈夫だから……!)
玉が力を放ったら撃退はできるが、絶対シルヴァリスに伝わってしまう。
理子は右手で右耳の玉を押さえた。
「おい、女の子相手に何やってんだ?」
どう乗り越えるか思案していると、男達の背後から若い男の声が聞こえた。
「ああっ!?」
男達が振り返ろうとした時、理子の肩を掴んでいた男が真横へ吹っ飛んで行った。
がっしゃーん!
「うげぇっ!」
吹っ飛んだ男は、すぐ横に置かれていた乾物屋の店頭ワゴンに突っ込んで行った。
突然の事に理子は「えっ!?」と声を上げる。
男達の背後からやって来た人物が、男の襟首を掴んで放り投げたのだ。
店頭ワゴンを壊された乾物屋の店員が、慌てた様子で店内から飛び出てくる。
投げられた男は打ち所が悪かったのか、身動き一つせず完全に意識を失って伸びていた。
「てめぇ! 何だぁ!?」
「ハッ、足を挫いているんじゃなかったのか?」
仲間が倒されていきり立つ男は背後に立つ人物、黒髪を短く刈り込んだ碧眼、鋭い目付きの背の高い筋骨隆々の鉄の胸当てを着けた、いかにも戦士風といった大男に、食ってかかった。
こんな事をする人は、漫画やアニメの世界だけだと思っていた。
まさか、人々が行き交う往来で見た目からして不潔で柄の悪い酔っ払いの男二人に絡まれるとは。理子は目の前の男達を困惑の表情で見上げた。
「余所見していたせいで……すいませんでした」
なるべく刺激しないようにと下手に出たのに、男達は鼻で笑う。
「お嬢ちゃん! どうしてくれんだぁ!」
「そっちからぶつかって来たのに、ごめんなさいだけで済まそうって言うのか!?」
ああ、何でこうもお決まりの台詞を吐くんだ。
これが、テレビや漫画の世界や第三者なら「ほー捻りがないわね」っと笑ってやりたいところだが、異世界の見知らぬ町で自分が体験するとなれば怖い。
「いや、謝っているじゃないですか」
若い娘が酔っ払いに絡まれている姿は一目瞭然で、揉めている声は聞こえているはずなのに行き交う人は此方を一瞥するだけで足早に立ち去るだけ。止めに入る者や自警団に連絡しようする者はしない。
助けてもらえないのはショックだが、理子の見た目は冒険者だから自分で何とかすると思われているのか。
明らかに酔っ払った柄の悪い男達を諫めたら、自身に火の粉が降りかかるのが嫌で関わらないのだろうか。
誰だって面倒事に関わるのは嫌だ。警察も正義の味方からの助けも無い。逃げられないのならば自力で何とかするしかないのか。
「謝るだけで許すと思ってるのかよ!」
「ぶつかられたせいで足を挫いちまったんだよ!」
黙ってしまった理子に、男達は厭らしい笑みを浮かべる。
「当然、医者に行く金と仕事が出来なくなった分の金を貰わなきゃならねぇ」
男達は私が怯えていると思ったらしく、ニタニタと下品に笑う。
「こんなベタな展開になるとは……」
衣料品店の店主から気を付けるように言われたのに、クレープや生搾りフルーツジュース屋台での買い食いに夢中で注意力が散漫になっていた。
折角、城の外へ出られたのに泣きそうだ。
「おい! お嬢ちゃん聞いてんのか!」
男の一人に無理矢理肩を掴まれて、至近距離で話されたものだから生臭い息が顔にかかり、理子は思いっきり顔を歪めた。
まさか酔っ払いに絡まれるとは、息も臭いし最悪で涙が出そうになる。
肩を捕まれて凄まれた恐怖と嫌悪感を感じ取ったのか、右耳の深紅の玉が熱を持つ。
(駄目、大丈夫だから……!)
玉が力を放ったら撃退はできるが、絶対シルヴァリスに伝わってしまう。
理子は右手で右耳の玉を押さえた。
「おい、女の子相手に何やってんだ?」
どう乗り越えるか思案していると、男達の背後から若い男の声が聞こえた。
「ああっ!?」
男達が振り返ろうとした時、理子の肩を掴んでいた男が真横へ吹っ飛んで行った。
がっしゃーん!
「うげぇっ!」
吹っ飛んだ男は、すぐ横に置かれていた乾物屋の店頭ワゴンに突っ込んで行った。
突然の事に理子は「えっ!?」と声を上げる。
男達の背後からやって来た人物が、男の襟首を掴んで放り投げたのだ。
店頭ワゴンを壊された乾物屋の店員が、慌てた様子で店内から飛び出てくる。
投げられた男は打ち所が悪かったのか、身動き一つせず完全に意識を失って伸びていた。
「てめぇ! 何だぁ!?」
「ハッ、足を挫いているんじゃなかったのか?」
仲間が倒されていきり立つ男は背後に立つ人物、黒髪を短く刈り込んだ碧眼、鋭い目付きの背の高い筋骨隆々の鉄の胸当てを着けた、いかにも戦士風といった大男に、食ってかかった。