くたびれOL、魔王様の抱き枕を拝命いたしました!?
「どれっ、俺が診てやるよ」
大男は殴りかかってきた男の拳を簡単に片手で受け止める。
「くそっ! ふざけるなよぉっ!?」
拳を握られたまま、自由になる手をポケットに入れた男は、ポケットから取り出した折り畳みナイフを振り上げた。
「ぐえっ!」
ナイフの切っ先が戦士に届く前に、男の鳩尾に骨ばった戦士の拳がめり込む。
がはっ、と男は胃液と消化しきれていない胃の内容物を地面へ吐き出した。
内容物をびちゃびちゃ吐き出した男は、ガクガクと痙攣する膝から崩れ落ちるように吐瀉物の中へと倒れる。
「きゃあっ」
「何だ!?」
喧嘩をしているからか、吐瀉物がかかるのが嫌だったのか、通行人から悲鳴が上がった。
「おっと、きったねぇな」
吐瀉物の飛沫から逃れた戦士が、吐き捨てるように呟いた。
「大丈夫かい?」
大股で歩み寄ってきた戦士は、片膝を地面に突けて屈み、へたりこむ理子と目線を合わせる。
「あ、ありがとうございます」
屈んでも大柄な戦士の方が大きいため、理子は彼を見上げてお礼を伝えた。
なかなか立ち上がらないでいる理子に、身を屈めた戦士は片手を差し出す。
「立てるか?」
にかりっ、と歯を見せて笑う表情は男らしくて、逞しい男性が好きな御姉様達のハートをきゅんきゅんさせること間違いなしの威力があった。
「あ、足に力が入らなくて、立てない」
迷った末、理子は差し出された手のひらに自分の手を乗せる。
引っ張りあげられたのはいいが、両足に力が入らなくてふらつき倒れそうになる理子の肩を戦士の腕が支える。
「すみません」
絡まれた挙げ句に腰が抜けてしまったとは、格好悪いし恥ずかしくて理子の顔は赤くなった。
肩を借りるには身長差がありすぎるからと、戦士は理子を軽々と背負う。
横抱きよりはマシとはいえ、いい大人がおんぶされるなんて恥ずかしい。
知らない男性に、お尻とか太股を思い切り触られたと魔王にバレたら、監禁どころじゃ済まされないかも知れない。
「俺はウォルト、旅をしながら傭兵をやってる。冒険者ってやつだ」
内心冷や汗を垂らしまくっていた理子の気持ちを知らず、ウォルトと名乗った男性は大通りを通り過ぎた先の小さな公園のような場所のベンチへ理子下ろす。
ウォルトが腰に挿す大剣がベンチに当たって、ガチャンと音を立てた。
「ありがとうございました。私は、リコ・ヤマダといいます。此処には仕事が休みで観光しに来たのですが、宿を探していたら迷ってしまって」
「それで絡まれたって訳か」
言いながらウォルトは、理子の横へ腰かける。
「いくら何でも女の子の一人旅って危なくないか? リコは弱そうだし旅も慣れていなさそうだし。もうすぐ日暮れだ。宿を探しているなら、俺が仲間と泊まっている所へ行くか?」
女の子と言うウォルトは理子を何歳だと思っているのか。
もしや、15歳くらいの年齢だと思われているのかも。
胸はまぁある方だと思っているのだが、着替えた時に化粧を落として素っぴんだから幼く見えてるのか。
少し悲しくなりながら理子は夕焼けに染まった空を見た。
暗くなったらまた物騒な輩に絡まれる危険がある。
ここは、旅の傭兵をしているという強そうなウォルトの厚意に甘えさせてもらうのがベストな選択だろう。
「宿までの案内をよろしくお願いします」
隣に座るウォルトに理子は深々と頭を下げた。
ゲームや漫画等では、酔っ払いや暴漢に絡まれて助けてもらうった後に何かしら新展開を迎えるパターンが多い。
これは何かのフラグかなと、先を歩くウォルトの背中と沈み行く夕日を見詰めた。
大男は殴りかかってきた男の拳を簡単に片手で受け止める。
「くそっ! ふざけるなよぉっ!?」
拳を握られたまま、自由になる手をポケットに入れた男は、ポケットから取り出した折り畳みナイフを振り上げた。
「ぐえっ!」
ナイフの切っ先が戦士に届く前に、男の鳩尾に骨ばった戦士の拳がめり込む。
がはっ、と男は胃液と消化しきれていない胃の内容物を地面へ吐き出した。
内容物をびちゃびちゃ吐き出した男は、ガクガクと痙攣する膝から崩れ落ちるように吐瀉物の中へと倒れる。
「きゃあっ」
「何だ!?」
喧嘩をしているからか、吐瀉物がかかるのが嫌だったのか、通行人から悲鳴が上がった。
「おっと、きったねぇな」
吐瀉物の飛沫から逃れた戦士が、吐き捨てるように呟いた。
「大丈夫かい?」
大股で歩み寄ってきた戦士は、片膝を地面に突けて屈み、へたりこむ理子と目線を合わせる。
「あ、ありがとうございます」
屈んでも大柄な戦士の方が大きいため、理子は彼を見上げてお礼を伝えた。
なかなか立ち上がらないでいる理子に、身を屈めた戦士は片手を差し出す。
「立てるか?」
にかりっ、と歯を見せて笑う表情は男らしくて、逞しい男性が好きな御姉様達のハートをきゅんきゅんさせること間違いなしの威力があった。
「あ、足に力が入らなくて、立てない」
迷った末、理子は差し出された手のひらに自分の手を乗せる。
引っ張りあげられたのはいいが、両足に力が入らなくてふらつき倒れそうになる理子の肩を戦士の腕が支える。
「すみません」
絡まれた挙げ句に腰が抜けてしまったとは、格好悪いし恥ずかしくて理子の顔は赤くなった。
肩を借りるには身長差がありすぎるからと、戦士は理子を軽々と背負う。
横抱きよりはマシとはいえ、いい大人がおんぶされるなんて恥ずかしい。
知らない男性に、お尻とか太股を思い切り触られたと魔王にバレたら、監禁どころじゃ済まされないかも知れない。
「俺はウォルト、旅をしながら傭兵をやってる。冒険者ってやつだ」
内心冷や汗を垂らしまくっていた理子の気持ちを知らず、ウォルトと名乗った男性は大通りを通り過ぎた先の小さな公園のような場所のベンチへ理子下ろす。
ウォルトが腰に挿す大剣がベンチに当たって、ガチャンと音を立てた。
「ありがとうございました。私は、リコ・ヤマダといいます。此処には仕事が休みで観光しに来たのですが、宿を探していたら迷ってしまって」
「それで絡まれたって訳か」
言いながらウォルトは、理子の横へ腰かける。
「いくら何でも女の子の一人旅って危なくないか? リコは弱そうだし旅も慣れていなさそうだし。もうすぐ日暮れだ。宿を探しているなら、俺が仲間と泊まっている所へ行くか?」
女の子と言うウォルトは理子を何歳だと思っているのか。
もしや、15歳くらいの年齢だと思われているのかも。
胸はまぁある方だと思っているのだが、着替えた時に化粧を落として素っぴんだから幼く見えてるのか。
少し悲しくなりながら理子は夕焼けに染まった空を見た。
暗くなったらまた物騒な輩に絡まれる危険がある。
ここは、旅の傭兵をしているという強そうなウォルトの厚意に甘えさせてもらうのがベストな選択だろう。
「宿までの案内をよろしくお願いします」
隣に座るウォルトに理子は深々と頭を下げた。
ゲームや漫画等では、酔っ払いや暴漢に絡まれて助けてもらうった後に何かしら新展開を迎えるパターンが多い。
これは何かのフラグかなと、先を歩くウォルトの背中と沈み行く夕日を見詰めた。