n回目の告白【短編】
高校。一緒のクラスメイト、運良く三年間だが勢いなんて初めからなく。仲のいいクラスメイトであることに変わりはなかった。

クラスメイトの前でポロッと「付き合ってみようか、ここまできたら」とこぼれてしまってでも彼女は笑いながら「遠慮しとく」と拒否された。そしてフラれたなーなんて肩組み出す、悪友にも笑われたが俺も笑って何度か持ちネタみたいに告白した。

そして、三年。
またループするような卒業時期。
だが今年は違う、彼女は県外の大学に進学をする。彼女はテニスを続けていたが、「勝ちにこだわるより楽しみたい」と緩いサークル活動をしたいようだった。将来の夢、未来。そんなものはきけないまま。

アルバム委員になったのは、思い出の整理をしたかったから。40人それぞれがアルバムの中のどこかにいるように作業するのは大変だった。写真を見るたび、思い出に浸る彼女に作業を促しながら、ふと、中学の話をしてみた。

「お前が好きだった先生って誰だったの?」

聞かれると思ってなかったのだろう、持ってた写真を全部机にぶちまけた。手でかき集めると、写真をまとめた。訝しげに、じとりとこちらを睨んだ。

「急になんてこときくの」

「いや、色々考えて草壁先生か、赤塚先生かと思ったんだけど」

この二人は二十代だし、他の女子からもチヤホヤされていたと思う。体育教官とバスケの顧問。締まった体をしていたから。

「美術の喜山先生」

「へ?」

「だから美術の喜山先生」

「あの鳥の巣頭が?」

思わず漏れた失言に、彼女にギロリと睨まれた。悪い、と素直に謝った。
確かに若くはあるけど、髪の毛の天然パーマが凄くて、目が髪の毛に覆われている。

なんというか辛気臭い話し方でボソボソと聞き取りづらく授業も不得意分野ということもあってつまらなかった記憶だ。
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