キミの愛情120%
引き続き先輩のアルバムを見ながらクリスマスの予定を話していると、先輩のアルバムはむしろ、人物が映った写真がほぼないことに気づいた。
「……お店の写真以外はあんまり撮ってないんですね」
「ん? んー、そうかもね」
「意外。女の子と自撮りしてそうなのに」
「よく言われる。しないねー。俺のスマホでは」
「……なるほど」
まあ、納得だ。普段先輩がこうやってアルバムを見ながら女の子とデートの話をしているなら、他の女の子との写真なんかあったら気まずいことこの上ないだろう。
でも、友だちの写真とか、デートとは関係ない趣味の写真とか、綺麗な景色の写真とか。
リナのアルバムにも、たぶん他の高校生のアルバムにも当たり前にある写真がなかった。
「先輩、写真はあんまり好きじゃない?」
「そんなことないよ。けど、なんか気づいたらこんなことになってた」
「……残したい思い出とか、好きな景色とか、ないんですか?」
「……ないね。さっき里菜ちゃんは褒めてくれたけど、俺はただ相手が喜びそうなことを集めてるだけ。実は空っぽなんだよ、中身」
自嘲した言葉にハッとする。まずい、先輩の地雷を踏みぬいてしまった。