キミの愛情120%


「じゃ、あたし先に行ってるから」

「え!? ちょちょチョコちゃん!!?」

「あたしがチャラ男嫌いなの知ってるでしょ」


いつだってマイペース、ゴーイングマイウェイなチョコちゃんはさっさとリナを置いて校舎へ向かってしまった。

チョコちゃんのバカーー!



「里菜ちゃん? おはよー」

「……っ、おっ、おはよーございまぁーす」



いつのまにか先輩は隣に歩いてきて、今日も何気ない笑顔で話しかけてくる。

ふわふわの茶髪を造作ない感じにセットして、女の子ならみんながポーッとなっちゃう甘い笑顔と柔らかな声で。


ーーーでもリナはもう騙されないんだから!



「いやー、クリスマス前のカップルは浮かれ具合が凄まじいね。ヒサのデレデレ顔見たら居た堪れなくなったよー」


ヒサっていうのは汐見先輩のことだ。汐見久登(ひさと)で、ヒサ。

はあ、と白い息を吐きながら、先輩が親友とその彼女の仲睦まじい背中を見て苦笑いする。


「……そぉですねー」


そう言うあなただってクリスマスは女の子(※ただし彼女じゃない)と過ごすんでしょ、と思ったけど口には出さない。


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