キミの愛情120%
「毎日祈ってますよ。マルとチョコちゃんに、できれば他の人より優先的に幸せなことが起こりますようにって」
そう言うと、先輩はぷっと噴き出して「だろうね」と笑った。
……なんで笑うんだよ。失礼だな。
「でも俺も最近、そういうのがいたらいいのにって思うよ。“特別な存在”ってやつ」
「……でも、本気で誰かを好きになったこと、ないんでしょ」
「うん。だから困ってる。ちょっとだけね」
「…………」
それ、たぶん『ちょっと』じゃないんでしょ。
けっこう本気で悩んでるやつでしょ。
「…………」
「……はい、この話終わり!」
「え?」
先輩はパン、と手を叩いて立ち上がった。
「せっかくのクリスマスなんだから、こんな暗い話で終わらす気ないよ。ほら立って」
言われて立ち上がると、先輩がリナの髪についた雪を払う。
近いし、なんかいい匂いする……。恥ずかしくて、何も言えずに先輩の手が離れるのを待った。
先輩の指が耳に触れてくすぐったい。思わず身をよじると、反対の耳に先輩の唇が近づいた。
「ちょっとじっとしてて」
ささやかれて、心臓が飛びはねた。
動悸が激しくなる。胸が痛い。てかいつまで耳触ってんの変態。
勘違いするな自分。この人は彼女作らない主義作らない主義……。