キミの愛情120%


「リナの気持ち、勝手に殺すな。勝手に決めるな!」


焦った顔して先輩が一歩、近づいてくる。

だけど手遅れだ。リナの口はもう止まらない。


「そうやって遠回しに否定し続ければ、勝手に気持ち消えると思った? 馬鹿じゃないの。リナはねえ、リナは」


一歩。俯くリナの視界に、彼の靴が見えた瞬間。


「リナはずっと、先輩のことが――」


続きは、容赦なく重なった唇の隙間に消えた。


「――――」


柔らかくて、蜂蜜みたいに甘くて、――息のできない苦しいキス。


グラウンドから野球部の掛け声が聞こえて、遠くの廊下から生徒の笑い声が聞こえる。

橙に染まる教室の端っこで、永遠にも感じられる5秒間が過ぎた。




「――言うな」

唇が離れて、呆然とするリナに先輩がそう言った。

どろどろに溶けたチョコレートを、焦げ付くほど煮詰めたみたいな、熱くてぐちゃぐちゃの瞳で。

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