キミの愛情120%
「おはよー」
「マル、おはよー」
マルも教室に入って来たのか、クラスメイトたちと挨拶している声が聞こえてくる。
顔をあげることもできず、突っ伏したまま寝たふりを続けた。当然リナにかかる声はなく、あの二人と挨拶せずに始まる朝なんて久しぶりだなあとぼんやり思った。
その後も二人に話しかける勇気は出ず、二人もリナに話しかけてこなかった。
しばらくリナの気持ちが落ち着くのを待っていたみたいだけど、放課後になっても二人を避け続けるリナにいい加減しびれを切らしたらしい。
「――里菜!」
ホームルームが終わった直後、マルが声をかけてきた。
「!」
「あのさ、昨日の……」
「リナ、用事あるから先帰る! ばいばい!」
「え!? ちょっ……」
走って教室を出た。マルの伝家の宝刀『逃亡』、お借りします。
マルもさすがに追ってはこなかった。
「……っ」
ごめんマル。ちょっとね、今は頭が全然働かないの。
色々ありすぎて、何も考えたくないの。ごめん、ホントにごめん。