キミの愛情120%
そのまま去ろうとしたら、なぜか焦った顔をした先輩が腕をつかんできた。
「ごめん、待って。昨日の話させて」
なんでそんな真剣な顔してるの。
どうせ『出来心だった』とか言って謝ってくるんでしょ。
“ごめんね、本当にごめんね”
“でも里菜ちゃんは俺のこと好きじゃないから大丈夫だよね?”
簡単に想像できるよ。でももうそのノリ飽きたって言ったじゃん。
だからもう、ぜんぶどうでもいいよ。
「……昨日? ああ、別にいいですよ。なんとも思ってないんで」
先輩が目を見開いた。
彼の綺麗な瞳に冷たい顔した自分が映る。
それから彼は、迷子になった子供みたいに眉根を寄せて、リナの腕をぎゅっとつかんだ。
「……けど、」
「大丈夫ですから、腕離してください。痛いんで」
「! ……ごめん」
先輩は力を失った手を離すと、そのままうつむいた。
リナは一人で、校舎を出た。