キミの愛情120%
「あとで連絡するね。俺が必要だったら返事して?」
ささやくようなその声に、思わず肩が跳ねる。
「ちょ……っ!?」
「あはは。大人になっちゃったと思ったけど、カワイイ反応変わらないね? じゃあね~」
そうだった。この人、距離の詰め方がえげつないんだ。
ロングコートを翻して爽やかに去っていった亮平さんのうしろ姿を恨みがましい目で見つめていたら、横から低い声の「誰? 今の」が聞こえてきた。
振り返ると、先輩が険しい顔をしてリナを見ていた。
「え……も、元カレですけど……」
「明らか高校生じゃないよね? 大学生? いつ付き合ってたの?」
「……二年まえ……」
「二年前!? 中学生じゃん! やばいでしょ!」
「うるさいなあ! リナにだってちょっと荒れてた時期くらいあったんですよ!」
ママとパパが離婚する直前、お互いから逃げるみたいに仕事ばかりしていて、リナはいつも家に一人だった。
学校へ行っても一人ぼっちで居場所がないし、そういう色んなものへの反発とか寂しさとかが原因で、ふらふら夜の街をさまよっていたとき。
夜22時の公園に一人でいたら酔っぱらったおじさんに絡まれそうになって、助けてくれたのが亮平さんだったんだ。