キミの愛情120%
先輩はむっとした顔でリナを見てくる。なにその顔。まさかまた妬いてる?
「……また会うの? あの人と」
「……さあ、どーですかね。会っちゃうかもですね」
「やめなよ。危ないよ」
「はあ? 亮平さんのこと何も知らないくせに勝手なこと言わないでくださーい。言っとくけど、先輩より百倍余裕あるし大人っぽくてカッコいい人だから!」
カチンとしてつい口をついて出た言葉に、先輩がさらに表情を険しくした。長いまつ毛の影が一層濃く、アーモンド形の瞳に落ちる。
「……あっそ」
吐き捨てるようなその一言に、思わず肩が震えた。
え。今の、ホントに先輩の声?
「……せんぱ、」
「いいよ、勝手にしたら? 俺は里菜ちゃんのほんとの彼氏じゃないし、口出しすぎたね。ごめん」
……なんか地雷踏んだっぽいんですけど。怖い。そんなに亮平さんと比べられるの嫌だったのかな。
そりゃふつうは嫌だろうけど。先輩なら、へらへら笑って『さすがに大学生には敵わないよ~』とか言いそうなのに。
その後先輩はリナに背を向けて無言で歩いていき、マルたちのところへ戻ったときには「なんでそんなお通夜みたいな空気なの」と青ざめた顔で言われた。