キミの愛情120%
「……なんで謝るんですか?」
「え、里菜ちゃんて亮平のこと好きなんじゃないの?」
「違いますよー。昔、一瞬付き合っただけです」
「あ、そうなんだ? ならよかった……いや、良くないね? いつ付き合ってたの?」
「リナが中学生のときです」
「うわー……中学生にも手出してたんだ? さすが亮平。あいつ、この前はうちの店の客をナンパしててさ……」
聞いてもない亮平さんの近況話を適当に相槌うちながら聞き流していると、バーテンダーさんが他のお客さんに呼ばれてそっちへ向かっていった。
亮平さんが店の中に戻ってくる。
……スマホを見る目は、氷みたいに冷たい。
顔をあげてリナと目が合うと、嘘みたいにぱっと甘い笑顔に変わった。
「ごめんね~。お待たせ」
「亮平さん、相変わらずモテモテですね」
「はは、そうでもないよ。今は彼女いないし。里菜ちゃんは彼氏いないの?」
「いないです」
「……でも、好きな人はいるよね?」
どきっとして彼を見ると、やっぱり何を考えているかわからない微笑みを浮かべてリナを見ていた。
子供のリナの考えていることなんて、ぜんぶお見通しだって目。だからつい、本音がこぼれた。