キミの愛情120%
「……違います。だって、あの人は絶対リナのこといちばんにしてくれないから」
誰のことも平等に愛してあげる人だから、あの人はリナをいちばんにしてくれない。リナが欲しいその言葉だけは、絶対に言ってくれないんだ。
「ふーん……。里菜ちゃんは、それがつらいんだね」
亮平さんがするりと腰に手を添えてくる。思わずびくっと反応すると、彼は小さく笑って耳元に唇を寄せてきた。
「……じゃあ、俺とまた付き合ってみる? 俺なら、里菜ちゃんをいちばんにしてあげるよ」
うす暗いバーの中で、亮平さんのピアスが照明であやしく光る。リナの背中を、亮平さんの指がすーっと撫でていく。
耳触りのいい言葉。女の子を夢心地にさせる甘い笑顔。うっとりさせてくれる指先。
リナの憂鬱にすぐ気づいて、つらい現実から逃がして甘い夢を見せてくれる人。
別にいいじゃん、この人で。
周りに女の子がたくさんいそうだけど、それはあの人も似たようなもんだし。
格好良くて優しくて、リナのそばにいてくれて。
この人でいいじゃんって、そう思うのに。