キミの愛情120%
つい言い争いになってしまったこと。
そしたら、なんでか先輩が嬉しそうな顔でキ、キ、キスしてきたこと。
それで……。
『俺はずっと、君の特別になりたかった』
問題のこの発言のあと。
リナは気付けば先輩を殴っていた。
「今更なに言ってんの……?」
「……っ、そりゃ怒るよね。ごめん、ちゃんと説明するから、話聞いてくれる?」
なのに先輩は全然ひるまなくって、むしろもっと真剣な目でリナのことを見つめてきて。
「あのさ……」
「タクシーで帰る」
「え?」
「先輩と帰りたくないからタクシーで帰る!」
「ええええ!?」
――で、去り際に先輩が押しつけてきたタクシー代で帰り、今に至る。
そこまで話し終えた頃には、電車を降りて改札を通っていた。
ずっと黙って聞いていたマルとチョコちゃんは、『どういうこと……?』という顔で眉根を寄せている。
「え、松原先輩は里菜のことずっと好きだったってこと?」
「でもあのチャラ男、本気の付き合いはしないんじゃなかったの?」
「そうなの。そう言うからリナはずっと告白すらさせてもらえてなかったの」
「なのに急に? ずっとって何?」
「そう。意味わかんないよね。だから殴っちゃったの。仕方ないよね」
先輩のこと殴るのこれで2回目なんだけど、どうせ先輩のことだから女から殴られることなんか日常茶飯事だろう。気にする必要はない。