キミの愛情120%
心臓の奥をぎゅっとつかまれたみたいに痛んで、動けなくなった。
リナの反応に気づいたのか、先輩はすぐにいつもの笑顔に戻した。
「……えー、なんで? 教えてよ。元サヤにでもなった?」
「……さあ。ご想像にお任せします」
ぱっと先輩から目をそらした。
なに、今の。
昨日もそうだった。この人はいつのまにか、ヤキモチなんて可愛いものじゃない感情をリナにぶつけるようになっていた。
先輩のくせに。クズの女たらしのくせに。彼女作んない博愛主義者のくせに。
ムカつくのに……なんでこんなに心臓、うるさいの。
ゾクゾクして、ドキドキして、知らない感覚……。
「……里菜ちゃん。ゆっくり話したいことあるからさ、今日一緒に帰ろ?」
リナの動揺に気づいているのかいないのか、甘いささやきが耳元で聞こえる。
ぐらぐら揺れるリナの心を絡めとるみたいなその声に、「あ、」と言葉が飛び出した。
「リナも……っ」
「諒~~っ! おはよ~~!!」
話したいことがある、という言葉は、女子生徒の大きな声にかき消された。