キミの愛情120%
「ねーあたし昨日諒にLINEしたんだけど見た? 返事してよ~」
「あっ諒~! 今日うちらとお昼食べる約束忘れないでね~!」
「話したいことあるから、あとで教室行くねー」
「お~諒。この前貸したマンガどーだった~?」
次から次へと。女子だけじゃなく男子まで、先輩の姿を発見すると話しかけてくる。
先輩はリナから目を離すと、そのひとつひとつにちゃんと一言返事をしてあげていた。
相手の顔を見て。
相手に合わせた表情と声で。
相手がほしい言葉を返す。
それを見て、ああ、リナは先輩のこういうところが好きなんだなあ、と思った。
リナにはできないことを、当たり前のようにやってのけるひとだから。
だから――リナは、言えないんだ。
声をかけてくる全員に応えてから、ようやく先輩はリナの方へ向き直った。
「ごめん里菜ちゃん、話中断しちゃって……。さっき言いかけたこともう一回、」
「先輩は人気者ですね」
「え?」
自分の中で暴れていた熱が、急激に冷えていくのを感じる。
馬鹿みたい。なに浮かれてたんだろ。期待しちゃったんだろ。