キミの愛情120%


青ざめるリナに、サオリさんはきょとんと数回瞬きをしたあと、「あははっ」と笑い飛ばした。


「そおそお。ローズティーぶっかけたサオリだよお~。あのときそこから見ちゃってたんだもんねえ。てか名前、なんていうの?」

「あ、岸本里菜です……」

「そうそう、きしもーちゃんね! きしもーちゃん!」

「きしもーちゃん……?」


なじみのなさすぎるあだ名に一瞬思考が停止した。数秒後に我に返る。


「って、リナがあのときカフェにいたの、知ってたんですか!?」

「うん。カフェを出た後、やっぱり諒のことが気になって一瞬戻ったんだよねー。でもきしもーちゃんが諒を慰めてくれてるの見て、またすぐ出たの」

「……そ、そうだったんですか……」


もしかしてリナ、ふたりが仲直りする邪魔してた?

不安が顔に出ていたのか、サオリさんはカラッと笑って「気にしないで~」と言うと、落ち葉の溜まったちりとりを持ってゴミ袋の方へ歩いていく。


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