キミの愛情120%


「ゴミ袋に入れるの代わります。箒で掃くのお願いしてもいいですか?」

「へ? いいよぉ、このくらい……」

「爪、汚れちゃいますよ」


サオリさんは今気づいたという顔で、自分の指先を見た。綺麗なネイルチップがつけられた長い爪。リナは家事があるからどうしても飾りのついたネイルはしづらいんだよね。


サオリ先輩は驚いた顔でリナを見つめてから、ニコニコ笑って「ありがと〜」と言った。

女子の先輩に嫌われまくってきたリナには慣れない女子の微笑みを向けられて、ついドキッとしてしまう。


「きしもーちゃんはいい子だねえ」

「べ、べつに……女子ならこのくらい、気付きますよ」

「気づくかもしれないけど、それで代わってあげられる子はなかなか居ないよお。だからいい子」

「ど、どうも……」


なんだろうこのむず痒い気持ち。嬉しいけど恥ずかしいな……。この人相手にぶりっ子を武装するのも馬鹿馬鹿しいような気がしてしまって、素の自分が出てしまう。

気が抜けちゃうっていうか、気づいたら自然体になっちゃうような、そういう魅力があるひとだ。




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