キミの愛情120%
あの松原先輩が。誰に対しても平等に愛を注ぐ先輩が。
泣いて自分に助けを求めてる女の子を置いて、リナのところに来たんだ。
リナが、そんな残酷なことを先輩にさせたんだ。
「先輩が泣いてる友達を慰めてるの、リナ知ってました。知ってて試したんです」
「……そっか」
「よくないことだってわかってたけど、どうしてもこんな方法しか思いつかなくて」
「うん。わかってる。里菜ちゃんにそうさせたのは俺だよね」
ごめん、というと、先輩はその場にひざまずいてリナと目線をあわせた。
「泣いてた子には、その子の友達に連絡しまくって集まってもらった。それでここに来るのに少し時間かかったけど……。今頃カラオケ大会でもしてるだろうから、気にしなくていいよ。あれは、俺じゃなきゃいけない役目じゃない」
「…………」
「でも、ここに来るのは俺じゃなきゃダメだったから」
リナの涙を先輩の指先がぬぐう。大切なものを見つめるように、やさしく細められた瞳と目があった。