キミの愛情120%
あげく、肩を震わせてなぜか笑い始めた男をいつ殴ろうかと考えていたら、先輩がいきなり立ち上がった。
見えたその表情は、きらきら輝くイルミネーションに負けないくらいの笑顔で。
――ぎゅっと、ちからいっぱいにリナを抱きしめて言った。
「あはは。俺、ずっと里菜ちゃんのことが好きだったんだ!」
……心底嬉しそうな、涙のまじった声で、そんなことを言うから。
のどの奥と胸が痛んで、一瞬呼吸を忘れた。
小さく震える大きな背中を、そっと抱きしめ返す。
「……先輩、ずっとリナのこと好きだったの?」
「今気づいた。俺、すげえ馬鹿」
「先輩はずっとバカだよ。リナ知ってる」
「はは。たぶんね、好きになったの里菜ちゃんより俺が先だよ」
え?
先輩は小さく笑って身体を離すと、リナの左手をとって手の甲にキスを落とした。王子様みたいなその仕草に、心臓がばくんばくんと脈打つ。
「そ、それはさすがにウソでしょ……?」
「ウソじゃないよ。覚えてる? 俺に、マルちゃんとチョコちゃんが特別だって話してくれた日のこと」
それは、今から約四か月前のこと。
マルに嫌がらせしようとした二年生の女子たちとキャットファイト寸前だったリナを、先輩が助けてくれた。
その帰り道に、リナにとってマルとチョコちゃんが特別だって話をしたんだ。