キミの愛情120%
2人で適当な空き教室に入って、お弁当を広げる。先輩は購買で買ってきたらしいホットドッグを袋から出した。
「…………」
沈黙が落ちる。ど、どうしよ。なんか緊張する……。
――『俺、ずっと里菜ちゃんのことが好きだったんだ!』
ふいに昨日のことを思い出して、かあっと顔が熱くなった。
リナ、ほんとに先輩の彼女になったんだ……。彼女だからお昼ご飯もいっしょに食べちゃうんだ……。すごいな……てか先輩かっこいいな……。
「弁当、美味しそうだね。手作り?」
「えっ。あ、ま、まあ……」
つい見惚れていたら話しかけられてびっくりした。先輩はホットドッグにかぶりつきながら、リナのお弁当箱をのぞきこんでいる。
「もしかして、里菜ちゃんが作った?」
「……え。なんでわかるの」
「前に、お母さん夜の仕事してるって言ってたから」
「よく覚えてんね……」
さすがとしか言いようがない。たぶん先輩の頭の中には、女の子100人分くらいの詳細なプロフィール帳があるに違いないと思った。
「きょうだいは? いないの?」
「いない……お母さんとふたり暮らし。先輩は?」
「俺はねー、中学生の妹がいるよ。めっちゃ嫌われてるけど」
「クズだから?」
言ってしまって口を閉じた。さ、さすがに直球すぎた。目をそらすと、先輩が面白そうに「あはは」と笑い飛ばしてくれた。