キミの愛情120%
「ごめん。なんかね、俺、今朝からおかしくて。せっかく付き合うことになったんだし大事にしたいんだけど、それと同じくらい里菜ちゃんに触りたい。でろでろに甘やかしてあげたいって思ってる。……“本気で好きな子”って、いるだけでこんな思考もってかれるんだね。知らなかった」
「……し、知らないけど……。その情報、後出しにするのずるくない?」
「えー? あはは。でもさっきの撤回しちゃダメだよ。今日の放課後は俺の家ね? 大丈夫、里菜ちゃんが嫌がることは絶対しないから」
「先輩らしくない……」
「そーだね。今の俺の頭の中、かわいい彼女とどうやっていちゃつくかってことしかないから」
「ばかじゃないの……」
そう言いながら、ドキドキしてる。胸が痛い。
あの目に見られたら、ああ自分はこの人が好きなんだって、それしか考えられなくなる。
もんもんとするリナを嬉しそうに眺める先輩は、見るからに上機嫌だ。
「決まり。じゃあ今日の放課後、一緒にかえろーね」
「うん……」
「あっ、諒~! やっと見つけた」
すると、リナ側のうしろのドアから、女子生徒の声が聞こえた。
「ユミ」
先輩は「ごめん」とリナに一言断って席を立つと、その女子……ユミさんがいるドアの前まで歩いていく。
さっきまで人がいた椅子に誰もいなくなって、その目の前の光景がやけに寂しく見えた。