キミの愛情120%


……ここに来るまで、先輩とは必要最低限しか話してない。

先輩は学校を出てからどうやってリナの機嫌を直そうかと悩んでいるのが駄々洩れで、らしくなかった。

そういう様子がさらにリナの表情を暗くさせていることにも気づいてないくらい、今の先輩には余裕がない。


リナが、そうさせてる。

リナの機嫌ひとつで、あの松原先輩が一喜一憂してる。

いつも他人のことを俯瞰して見ているような先輩が、今はリナの表情だけを気にしてる。


不思議で、くすぐったくて、うれしくて、ちょっとかなしくて、それが馬鹿みたいで。


先輩の部屋は全然散らかっていなくて、しっかり整頓されていた。

普段から片付けられてるんだろうな。リナだったら今日突然部屋に人を呼ぶなんて絶対できないので、素直に感心した。

参考書が置かれた勉強机とか、漫画が収納されてる本棚とか、べ、べ、ベッドとか……。

目に入ると心臓に悪いものが多くて、そわそわしながら先輩を待つ。


とりあえず、タローくんに触りたいな。それでなんかこう、雰囲気をふわーっとさせてから色々話したいな……。



< 260 / 274 >

この作品をシェア

pagetop