キミの愛情120%


……このひとは誰に対しても誠実で、誠実すぎるあまりに不誠実に見えていた可哀想なひとだ。


でもきっと付き合ったら、リナを裏切ることは絶対にしない。女の子に誘惑されたって何がなんでも断ってくれるし、他の人に目移りすることもないだろう。

相手のほしい言葉、望まれている立ち回りを先回りしてできる人だから、ルールなんか設けなくてもリナが『許せること、許せないこと』を考えて動いてくれる。

このひとは、そういうひとだ。そこは、もともとわかっていた。


問題は、リナ。リナが先輩を信じ切れるかどうかが問題だった。

過去に先輩と付き合っていた女の子は、別に先輩が浮気するなんて思ってなかったと思う。

先輩が誰に対してもやさしすぎるあまり、自分と他の女の子の境界線が見えなくて、自分が特別だと思えなかった。先輩の想いを信じ切れないことがつらかったんだろう。


だったらリナは、リナ自身を信じるだけだ。

今までの人生、どっちが正解かわからず迷いながら生きてきたけど、マルとチョコちゃんに出会い、憧れ、ふたりと一緒に歩くという選択をしたことだけは正解だったと思うから。

自分のそういう審美眼だけは、信じてるんだ。


< 265 / 274 >

この作品をシェア

pagetop