キミの愛情120%
口を挟んでしまいたくなる衝動を、必死に抑える。
……ダメだ。いい彼女にならなきゃ。素敵な恋愛するなら、我慢も大事。
謙虚に、謙虚に……。
「……大丈夫?」
その声は、どうしてかリナに向けられたものだとすぐにわかった。
顔を上げて横を向くと、アーモンド形の瞳と目があう。
今朝もそうだった。このひとは、いつもそう。
まっすぐで、曇りのない綺麗な瞳。
その場の誰もリナを見ていない中で、この人だけがリナを見ていた。
「…………あ、」
誰も聞き取れないような小さな声が出た瞬間。
信号が青に変わって、先輩は女の子に引っ張られるように横断歩道を渡っていった。
「…………」
……大丈夫、だし。
リナは全然、大丈夫だし……。
自分の心の奥にある、柔くて弱々しい何かが刺激されたような気がして、怖くなった。