キミの愛情120%
え、なんでリナ置いて行かれてんの?
これデートだよね?せめて駅まで送るとか、そういうの無いの?
「しんじらんないんですけど……」
長谷部くんのあとを追いかける気にもなれず、かといって帰る気にもなれず、ていうか駅に行ったら長谷部くんいるし。
ふらふらあてもなく歩いて、近くにあったカフェに入った。
「いらっしゃいませ~」
店に入った瞬間、ふわっと花のいい香りが鼻をくすぐって、心が少し落ち着いた。
席へ案内されて、紅茶やケーキセットなどが並ぶメニューに目を通す。
「当店のおすすめは紅茶となっております。ローズティーやハーブティーなど色々な種類がございますので、よろしければぜひお試しください」
「……じゃあ、ローズティーと、ケーキのセットを」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
意気消沈したひどい顔の客にも、店員さんは愛想よく笑いかけてくれる。
営業スマイルとわかっているけど、人の優しさに触れてほっとした。
さっきまで呆然として動かなかった頭も、だんだん運転再開し始める。